「ラジオ体操の最初の動作のように、真上に上げた腕を体の脇に自然に下ろした姿勢が、人間の理想的な姿勢。でも、実際にやってみるとキツくないですか? それはまさに背筋が衰えているサイン。
実はこの背筋力の低下が、腰痛や肩こりなど、さまざまな不調の原因となるのです」
こう話すのは東京慈恵会医科大学附属病院副院長兼リハビリテーション医学講座教授で『何歳からでも 丸まった背中が2カ月で伸びる!』(すばる舎)の著書もある安保雅博先生だ。
加齢とともに年間1〜2%ずつ低下していくという筋力。なかでも、ふだんの生活や運動であまり使わない背筋は衰えやすいといい、70代では20代の6割ほどの筋力になってしまうというのだ。
「背筋は頭を後ろに持ち上げたり、背中を後ろに伸ばしてまっすぐにする役割を果たしています。
人の頭の重さはボウリングの球ほど(約5キロ)。若いうちなら頭を支えながら、背中をまっすぐに保つことができます。しかし、筋肉が衰えると背中をまっすぐにする余力がなくなり、姿勢が悪くなってしまうのです。
そうなると人の体は頭を持ち上げたり背中をまっすぐにしようと、無意識のうちに、背筋以外の筋肉を酷使してしまいます。その結果、周囲の筋肉に疲労がたまって、腰痛や肩こりを引き起こしてしまうのです」
加齢のほかに、長時間スマホを前傾姿勢で使用することも腰痛の原因になるという。
■背筋を鍛える運動は寝たままできる!
では、この腰痛はどうすれば解消できるのだろうか?
「よく、腰が痛い人が“腰痛ベルト”を巻いていますよね。これはベルトが腹筋や背筋のかわりに体を支え姿勢をよくすることで痛みが引くもの。つまり、とくに背筋を鍛えて、まっすぐな姿勢を保てるようになれば改善できるのです」
そこで今回、ふだん使わない背筋をピンポイントで鍛えられる、簡単なストレッチと筋トレ方法を安保先生が教えてくれた。