女性も要注意だ(写真:PIXTA) 画像を見る

「10月18日、歌手のもんたよしのりさん(享年72)が、大動脈解離のため急逝しました。過去には大瀧詠一さん、最近では笑福亭笑瓶さんも、同じ病気で亡くなり、大杉漣さんの死因も大動脈解離の可能性があったと報じられています」(芸能記者)

 

突然にして命を奪う大動脈解離について、東京医科大学名誉教授の高沢謙二さんが解説する。

 

「心臓から全身に血液を運ぶ太い大動脈が、裂けたり破れたりする病気です。こうした解離が起こる場所が心臓に近いほど、致死率が高い。しかも、何の前触れもなく、突然死となるケースが多いです」

 

主要因は、心筋梗塞や脳梗塞と同じように、高血圧や動脈硬化、糖尿病、喫煙などによって、血管がダメージを受けることにある。

 

「大動脈解離は男性のほうが多い傾向があります。しかし、女性でも要注意。なかでも更年期や閉経後は、コレステロールの代謝を促し、血管を広げる女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、高血圧になりやすいのです」(高沢さん)

 

実際、女性の著名人で大動脈解離により亡くなった方もいる。声優の鶴ひろみさんは’17年、高速道路を運転中に死亡。女優の鹿沼絵里さんも同年に大動脈解離になり一命をとりとめたものの、後遺症があることをテレビ番組で明かしている。

 

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、女性の高血圧は中高年以降急増する(下図参照)。40代から増え続け、50代で約半数、60代では7割に上るという。血管の劣化が原因で引き起こされる大動脈解離は、決して男性だけの問題ではないのだ。

 

大動脈解離による突然死を防ぐために大事なのは、血管年齢を若く、健康に保つこと。今回、ふだんの生活で、注意すべきポイントを挙げてもらった。

 

【1】家事+「血管若返り体操」

 

のべ10万kmの長さになる血管を健康に保つには、血液の循環をよくすること。そのために適度な運動は欠かせない。ところが1日20分のウオーキングといっても、なかなか続けることは難しい。

 

主婦の方は家事を億劫がらず、こまめに体を動かすことを意識するところから始めましょう。洗濯をするときに、1階の洗濯機から2階のベランダまで洗濯物を運んで、物干しざおに干すだけでも、血管を若返らせる運動になります」(高沢さん)

 

さらに、高沢さんが考案した「血管若返り体操」を朝晩10回ずつ取り入れてみよう。やり方は簡単。まず軽く足を開き、楽な姿勢で立とう。次に、両足でつま先立ちをするようにかかとを上げ下げする。この基本の体操のほか、腕を組んで、かかとの上げ下げと同時に肩も上げ下げする応用版もおすすめだ。

 

【2】塩8分目食生活

 

高血圧予防では、塩分を控えめにするのは常識。

 

「塩8分目を心がけましょう。しょうゆは上から“かける”より小皿に入れて“つける”。塩分を抑えた分、レモン汁などで味の満足度を上げましょう。塩分を排出するカリウムや食物繊維が豊富な野菜を先に食べる“ベジファースト”も効果的。血糖値の上昇を抑制できるため、血管をケアできます」(高沢さん)

 

愛媛大学抗加齢医学講座教授の伊賀瀬道也さんも、こう語る。

 

「血液をさらさらにするEPAが豊富な青魚、血管をしなやかにする一酸化窒素の分泌を促すにんにく、抗酸化作用のあるイソフラボンを含んだ大豆食品などを、意識的に取り入れましょう」

 

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