トコジラミはカメムシの仲間(写真提供:有限会社大洋防疫研究所) 画像を見る

体長5mm前後ので褐色の“小さな吸血鬼”の被害がジワジワと増えている。

 

「トコジラミの駆除依頼の件数は、20年ほど前は年2件ほどでしたが、今年は、多い月で100件を超えています」と語るのは、2千件以上のトコジラミの駆除を行ってきた大洋防疫研究所代表取締役の向井秀彦さん。

 

「実は、駆除依頼の多くは個人宅です。海外に行ったり、国内の宿泊施設には行ったりしていない家も少なくありません。普通の日常生活を送っているなかで、電車やバスのシートに付着したトコジラミを自宅に持ち込んでしまうケースも多いようです」(向井さん、以下同)

 

トコジラミの寿命は気温20℃では9カ月から1年半ほど。1匹のメスは500個ほどの卵を産み、5日ほどで羽化するため繁殖力はかなり強い。本来、暖かい季節に活発になるトコジラミだが、暖房で快適な温度に保たれている現代は冬でも注意が必要だ。

 

万が一、自宅でトコジラミを発見してしまった場合はどうすればいいのだろうか? 有効な対処法を向井さんに聞いた。

 

【1】有機リン酸系 or カーバメイト系(トコジラミ用)殺虫剤

 

殺虫剤が効かない“スーパートコジラミ”が来日しているともいわれるが……。

 

「一般的な殺虫剤(ピレスロイド系の薬剤)に耐性のあるトコジラミをスーパートコジラミと呼んでいるようですが、有機リン系やカーバメイト系の殺虫剤であれば駆除できます。今のところ何度も作業をすることはなく、一度での根絶も難しくありません」

 

一般的な薬局でもトコジラミ(南京虫)用といえば購入できる。

 

【2】両面テープで捕獲

 

Xでは、ダイソーなどの100円均ショップで売られているハエ取り紙が駆除に効果的との情報が溢れているが、市販の両面テープで代用できるのだとか。

 

「トコジラミは、基本的に寝具の近くにいます。そこから夜間にどのような行動をするか予測して、ハエ取り紙を貼り付ければ捕獲することはできます。ただ、ハエ取り紙よりも市販の両面テープのほうが使い勝手がいいでしょうね」

 

【3】弱点の“熱”で撃退する

 

トコジラミは熱に弱くおよそ60℃で10分、100℃だと数秒で死滅する。

 

「シーツ・衣類などはお湯(80℃以上)に5分以上浸けるか、通常の洗濯後に熱乾燥機で乾かしましょう。畳などの大きなものは、駆除業者による熱乾燥車で確実に駆除できます」

 

とはいえ、自己流の対処法には限界がある。「トコジラミは、さまざまなところに潜んでいるので、薬剤を使わないと根絶することは難しいでしょう」とのことなので、できるだけ早く専門の駆除業者に相談するのがよさそうだ。

 

そもそも、トコジラミは南京虫と呼ばれ、もともと日本にいた虫だった。昭和40年代には根絶されたが、外国人観光客の荷物に付着してついたものが国内に持ち込まれるなど、インバウンドの増加とともに相談件数も急増しているのだとか。

 

「トコジラミはカメムシの仲間で、ベッドのすき間や裏、カーペット、ソファのすき間、家具のすき間などに潜んでみ、人が寝眠っている間に刺して吸血します。暗い時間帯に動き出すため見つけにくい、非常にやっかいな害虫です」

 

トコジラミに刺されると、赤く腫れて、強いかゆみが1週間ほど続く。トコジラミを媒介とする感染症はないようだが、何度も刺されると皮膚炎になり受診が必要に。さらに、かゆみが続き睡眠の質も大きく低下する。

 

「トコジラミは、肌が露出している手や足、顔や首などを複数回刺してきます。就寝中に何日も強いかゆみが続く場合には、トコジラミがいる可能性があります」

 

ちなみに駆除にかかる費用は、業者や部屋のタイプによって異なるが、ワンルームで数万円?数十万円だとか。できるだけ家にトコジラミを持ち込まないよう、気をつけたい。

出典元:

WEB女性自身

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