日本フィルハーモニー交響楽団の創立70周年記念の演奏会に臨まれた愛子さま(写真:JMPA・2026年6月22日) 画像を見る

7月17日の会期末に向け、皇室典範改正の議論が大詰めを迎えている。国会では10日、衆院の議院運営委員会で政府が提出した改正案が審議された後、本会議での採決が行われ、賛成多数で可決された。この後、舞台は参院での論戦に移行するが、長年にわたって取り組んできた皇室典範の改正がいよいよ現実となろうとしている。

 

改正案の軸は、結婚後の女性皇族が皇族の身分保持する案、旧宮家の男系男子を養子縁組で皇族に迎える案の二つ。

 

しかし政府案では、結婚した女性皇族が皇族に残ることになったとしても、皇統譜に登録されたまま住民基本台帳法を適用し、夫と子どもを皇族としないことを前提とした条文となっていた。さらに皇族となった養子に生まれた男子には皇位継承権を認めるという解釈が浮上し、野党が猛反発している以上に、世論にも大きく反対する意見が広がっている。

 

「当初国会の議論は、皇族数を確保することが目的とされ、皇位継承のあり方には踏み込まないという合意がありました。にもかかわらず政府・与党は、女性天皇・女系天皇の道を可能な限り防ごうとする意図があるかのように、改正案にそうした方向を盛り込んできたのです。

 

改正案の詳細な条文について野党側がシミュレーションしていなかった部分はあるとはいえ、本来“静謐な環境で”議論し、立法府の総意として全会一致で進めるべき皇室の制度に関する部分を、政権側が踏みにじるかのような対応をしたわけです。

 

またもともと“養子案”自体にも懐疑的な世論は少なくなく、また待望論が高まっている『愛子天皇』が遠ざかるような形になっただけに、いっそう高市政権に対する反感が高まることは間違いありません」(皇室担当記者)

 

国会は、主権者である国民によって選ばれた代表者である国会議員が集まり、この国のあり方を議論する場であることは憲法で定められている。だが皇室典範改正に関する議論が、女性天皇・女系天皇を容認する民意、そして「愛子天皇」を望む人々の声が届かないのはなぜなのか。

 

名古屋大学大学院教授の河西秀哉さんはこう話す。

 

「今回の改正で、愛子内親王殿下やそのお子さまが天皇にご即位できないのに、養子の子どもは天皇になれるのか、という批判が多数上がるのは確実でしょう。結果として、これまで皇室を支持していた人々が離れていく、もしくは皇室の存続に対しても否定的な声が広がることも懸念しています。

 

男系男子による皇統の維持というイデオロギーを前面に出した今回の改正案は、保守派にとっては歓迎すべきことなのでしょう。しかし世論調査でも明らかなように、9割近くなっている『女性・女系』容認という多数の国民の立場からしたら、疑問も広がる形になったのは、非常に残念に思っています」

 

■「愛子天皇」実現の道を断たないためには

 

また今回の皇室典範改正で、「愛子天皇」の道は立たれてしまうのか。河西さんはこう続ける。

 

「まず、この問題の興味関心を持続し、継続して注目していくことが重要なことで、メディアは引き続き報じていくことは欠かせません。改正によって内閣支持率や政党支持率が下がれば、少しは“お灸をすえる”ことにもなるでしょう。そうした形で政権にプレッシャーをかけながら、少しでも女性天皇に賛成するという議員が増えていけば、そうした形での皇室典範改正も可能になるはずです」

 

皇室研究家で神道学者の高森明勅さんも、「愛子天皇」実現の可能性がなくなってしまったわけではないとし、こう指摘する。

 

「現在の皇室典範では、愛子さまが天皇になることはできない制度であることは言うまでもありません。皇室典範の第一条《皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する》という条文を改正する必要があります。そして日本国憲法第二条《皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する》とあるので、国会での議決は不可欠です。

 

残念ながら、今の状況では現実性は低いと言わざるを得ません。しかし、女性天皇や愛子さまのご即位の実現可能性が無くなってしまったというわけではありません。今回の改正案の附則に“必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられる”とあり、附帯決議には“安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き続き、検討する”という文言が加わっています。

 

これは女性宮家や女性天皇、女系天皇への道を残す意味合いも含まれていると考えています。国会の議決ということに結びつけていくためには、もっと世論が盛り上げて、そうした声を届ける国会議員を増やし、動かさなければならないのです」

 

皇室史を専門とする静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、象徴天皇のあり方と逆行する高市政権による皇室典範改正に懸念を示しつつ、こう強調する。

 

「現在の皇室の原点は、昭和天皇が終戦翌年に示されたいわゆる『人間宣言』に、天皇と国民は『神話と伝説』ではなく、『終始相互の信頼と敬愛に依りて』結ばれていると述べたように、それが戦後の象徴天皇制の基本的なあり方となっていることは言うまでもありません。

 

愛子さまが成年されてから、国民の間に女性天皇・女系天皇を容認する立場の人が増えてきました。そのための議論が求められていたにも関わらず、国会では皇族数をどう確保するかという論点ばかりに終始してきました。ご公務の状況なども含めて検証していくべきだったのですが、そうした問題はあいまいにされたまま皇族数の確保に限った議論となっています。

 

また現在議論されている養子案についても、以前は1947年に離脱した旧11宮家だけではなく、東山天皇の男系男子子孫を対象にするといった意見もあったものの、いつの間にか旧宮家の男系男子の子孫に限定されてしまっています。

 

一時の政権与党の数の論理で拙速に議論を推し進めるなど、“男系男子論”に強くこだわるべきではありません。皇位継承の安定のためには、女性天皇・女系天皇を実現する議論を先にするべきであり、世論も容認に傾いています。総選挙で民意を確かめること、そして国民投票という形も、国民が考えるべき段階になっていると考えます」

 

「愛子さまのご即位を」……というあまたの国民の声が届いていない国会。民主主義国家の主権者として、日本国民が試される局面に差しかかっている。

 

画像ページ >【写真あり】”待望論”が高まる一方、可愛らしさも年々増されている愛子さま(他19枚)

出典元:

WEB女性自身

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