『バーンロムサイ』はタイ・チェンマイにあり、両親をエイズで亡くし、自分たちもHIVに母子感染した孤児たちの生活施設です。昨年12月に六本木で開催された『アンダーザツリー展』は大盛況のうちに終了しました。今回は日本人スタッフの方に孤児30人や施設についてお話をうかがってきたのでその模様をお届けします。

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※『バーンロムサイ』…ジョルジオ・アルマーニ・ジャパン社の資金協力を得て、1999年12月にタイ北部のチェンマイ市郊外に開設されました。代表者は写真中央・日本人の名取美和さん。

(バーンロムサイHP:ゲストハウス情報やネットショップ、支援についてもこちらからどうぞ)
http://www.banromsai.jp/
※ゲストハウスは映画『プール』の撮影場所になりました※

おおきな節目は2002年

バーンロムサイを立ち上げてしばらくは運営費は寄付だけでおぎなっていました。開設当初は具合いの悪い子が多く、またエイズを発症して亡くなってゆく子どもも居る中、彼らの命をどうやったら守れるかで精一杯でした。大きく変化したのは2002年です。抗HIV剤を飲み始めてから『あ、この子たち、大人になれるかも』という可能性が出てきたのです。それからこの子たちの将来も考えて寄付だけに頼るのではなく、自分たちで運営費を稼ぎましょうと。お金は天から降ってくるわけではない、お金は働いて得るものだっていうことを教えたかったのです。子どもたちの将来の仕事場になればという思いもあり、もの作りを始め、ゲストハウスを運営し、自分たちで収入を得ることをはじめました。

寄付してくださっているのは現在ほとんど日本人です。企業や個人、また賛助会員となってくださる方もいます。バーンロムサイのプロダクツを購入して協力してくださる方、ゲストハウスに泊まってくださる方、そういう方ももちろん含まれます。試行錯誤はずっと続いてますし、子供たちが大きくなればなるほどお金はかかってくるので、運営費を稼がなくてはいけない。そういう部分で安定はしていませんが、プロダクツを買っていただいたり、、ゲストハウスに泊っていただいたりと少しずつ知っていただけるようになり、こういう支援だったら自分でもできる、という方が増えてくださって大変ありがたいと思っています。

2002年に子どもたちが飲み始めた抗HIV剤は強い薬なので副作用やその効果がどのようなものか分からず不安だったのですが、飲み始めてから劇的に効いてそれから一人もエイズを発症せず亡くなっていません。すでに相当具合の悪い子どもが3人いたのですが、その子たちはいまとても元気です。2002年は子供たちの死が続き、薬を飲ませようと決断したときでもあるので、亡くなった子たちがいたからいまの子たちが生きていられると。
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子供たちがバーンロムサイにやってくるまで、そして告知について

子供たちは現在30人います。タイには大きい国立孤児院が北と南に二ヵ所あり、ほとんどの子どもはその国立孤児院から来ていますが、中には両親がエイズで死に面倒を観ていた祖父母から差別され知り合いを通じて預かってもらえないかという経緯で来た子もいます。ほとんどの子のお母さんはエイズで亡くなったり、また病院で産んでそのまま置いて姿を消してしまったというケースもあります。母親も相当つらい思いで子どもを手放したり、亡くなっていったのだと思います。その後いろいろ探してみたら母親が生きていたということもありました。その子はお母さんに会うことが出来ましたが、お母さんのほうにも事情があって、今は一緒に暮らせません。母子感染の場合、兵役や出稼ぎの際に感染した夫からうつってしまったというケースや、中には麻薬の打ちまわしが原因という人もいるかもしれません。

タイ人スタッフに聞くところによるといまはセックスを経験する年齢が低くなっていきている。感染している人に関しても。セックスの低年齢化が進んでいるわりには知識がない。コンドームが必要だけどタイの物価にしては高い。そうすると、つけない。そういう理由もあって感染者が増えている。あと、タイ政府は様々な問題を抱えているのでそこまで政策がまわらないというか。ですので、セックスワーカーが危険だとかHIVに罹る割合が高いとかプロのほうがコンドームには神経質だとかの話は聞きますけど、もうそういうレベルではないかもしれませんね。これだけ自由にセックスができてしまう現状だと。これはタイの国の話ではなく、先進国の中で唯一感染者が増え続けている日本の問題でもあります。

大きい子たちには彼らがHIVに感染しているということを話しています。告知という形で年長の子たちにはきちんと病気のことを伝え、なぜ薬を飲む必要があるのかという話しもしています。今は小さい子どもたちにも病気のことは話してはいますが、どのくらい理解しているかは個人差があります。告知した年長の子たちの反応は、親が具合いが悪くなるのを見ていた子などはうすうすわかっていたという子もいましたし、あとは、自分がそういう状況であることを知られるのは恥ずかしいという子もいました。怖いというより、ひとに知られたくないと思う子が多かった気がします。でも、薬を飲んでいれば普通の子となんら変わらない生活が送れるので、HIV感染イコール死という恐怖はないと思います。

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