【玉置妙憂の心に寄りそう人生相談】帰宅後、1時間以上体を洗う生活をやめたい
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【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第56回>

数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

今年に入ってから手洗いの回数が異常に増えて困っています。私は元々神経質なところがあるんですが、今年に入って新型コロナウイルスが流行すると、帰宅後はすぐに服を着替えて手を洗うようになりました。最初はそれだけで済んでいたんですが、テレビやネットの情報を目にするにつれ、それだけでは不十分な気がしてきて……。手洗いを2回繰り返すようになり、必ず洗顔をするようになり、しまいにはシャワーを浴びないと落ち着かなくなってしまい、帰宅後に1時間以上体を洗う生活が普通となってしまいました。理屈ではこんなに洗う必要ないことは分かっています。でも、どうしても心の中で「サボった結果、感染するかも」という声が聞こえてきて、不安を拭うことができません。こういう時、どうしたら心の声を鎮めることができるでしょうか。(男性・23歳・会社員)

 

【回答】

1時間以上体を洗うって……あなた。「どうしたら心の声を鎮めることができるでしょうか」なんて言っていないで受診した方がよかあないですか。

 

私たちは、ふたつのエンジンを持っていると思うのです。ひとつは、科学。もうひとつは、感性。なにかトラブルが起きたとき、科学のエンジンを使って、薬や道具の力で解決するのがいいときもあれば、感性のエンジンを使って、美味しいものを食べたりゆっくり寝たりして解決するほうがいいときもあります。

 

もちろん、両方のエンジンをバランスよく併用するときもあるでしょう。「智慧」というのは、このふたつのエンジンをうまいこと使い分ける判断を誤らない力のことだと思うのです。

 

さて、ではその判断基準は? 私はこんなふうに考えているのでご紹介します。

 

(1)困っているか

自分自身にしろ、家族や友人など自分の周りにいる人にしろ、誰かが困っていたら、科学のエンジンを使いはじめる。

 

(2)昨日よりひどくなっているのか、良くなっているのか、かわらないのか

状況なり症状なりが、昨日と比べて“良くなっている”、もしくは“かわらない”なら、もうすこし様子を見ていても大丈夫。でも、“ひどくなっている”なら、科学エンジン使用開始、です。

 

あなたの場合、状況はだんだんとひどくなっていらっしゃるようですね。そして、ここにご相談くださるくらい、あなた自身が困っている。つまり、科学エンジンの使用開始時期がきているということです。

 

数多ある科学の道具の中でも、今回使うのは、まずは医療でしょう。というわけで、私だったら近所のクリニックにアクセスしますが、いかがでしょうか。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。

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