年金がカットされない範囲で働きたいシニアの間で、高齢者専門の人材派遣会社が注目を集めている。

 

「趣味のテニスに週2回行くので、働くのは週3日」というのは、人材派遣会社「高齢社」(東京都千代田区)の村田勢次部長(75)。村田さんは東京ガスを退職後、同社に派遣社員として登録。3年前から本社勤務となった。ふだんは、取材の対応やクライアントとの調整などを行う。2〜3人がチームを組み、1社の仕事を「ワークシェア」することで、仕事に穴を開けずにすむといった、働く側に負担をかけない働き方ができるという。

 

「仕事に出ることによって、適度の責任感や緊張感を持つことで、体調的にも好循環が生まれるんです」

 

同社は’01年に東京ガスOBの上田研二会長が創業。仕事の内容は、ガス設備の点検や料金の徴収、ショールームの受付など100種類近くに上る。現在、約670人の登録者を抱え、就労率は5割を超えるという。

 

「創業者は、定年後に家に閉じこもり、家族から邪魔者扱いされがちな高齢者に、再び働く場と生きがいを与えようと会社を起こしました。高齢者が『産業廃棄物』などといわれたこともありましたが、そんなことはない、貴重な資源なのです」(幸山明雄代表取締役)

 

女性向けに特化した職種もある。経理や総務、電話の応対業務のほか、料理や掃除など、家事が得意という女性の能力を生かせる場が「かじワン」だ。

 

「高齢社で新規事業として立ち上がった家事代行事業部が、’13年に独立しました。スタッフは、豊富な経験がある40〜60代の女性が中心です。ご自宅にうかがい、掃除や洗濯、食事作りから、お年寄りの介護まで、個別のサービスを提供します」(同前)

 

シニア女性向けの人材派遣はまだ少数だが、女性の得意技を生かした分野で、活動の幅が少しづつ広がってきているといえそうだ。