「桜よりもコロナをやれ!」の野党批判は本当に正しいのか?
(写真:アフロ)

《国会中継見てたら、桜を見る会で安倍総理を追及してた。今追及すべきは新型コロナウイルスへの危機管理じゃないのかな…こちらは国民の命を脅かす深刻な問題だからね、呑気なもんだ、と思ってしまった》

 

タレントのフィフィ(43)が1月27日にしたこんなツイートには、3万6千件もの“いいね”がついた。現在、行われている通常国会。日本維新の会などを除く野党は、前の国会から続く「桜を見る会」の問題と、閉会中に明らかになったIR汚職について安倍政権を厳しく追及している。だがいっぽう、ネットからはこんな声が聞こえてくる。

 

《国会も桜を見る会やIRでネチネチしている暇があったら、コロナウイルスから国民を守るための議論をしっかり行って欲しい》
《野党って本当に馬鹿なのか?、新型コロナウィルスで大変な時に桜を見る会の安部政権叩きばかり》

 

「○○の問題があるから、野党は××を追求している場合ではない」。これまでもこんなロジックで、安倍政権の疑惑を追及する野党が批判されてきた。現在は新型コロナウイルスが“○○”とされることが多いが、今年1月初頭には“米国イラン危機”が、過去には“北朝鮮問題”や台風などの自然災害、時の重要法案などが“○○”の座を占めてきた。いっぽう野党が追及している場合ではないとされる“××”は、現在だと「桜を見る会」と「IR疑獄」だが、過去には「森友・加計問題」や閣僚のスキャンダルなどだった。

 

《北朝鮮の脅威が増しているのにモリカケに審議時間を使うのですか? モリカケに費やした無駄な時間を返して下さい》
《桜を見る会の話でアベガーして国会議論を止める暇があるなら台風19号において被災された被災者の為にこれからどう復興するかの真剣な議論をしろよ》

 

過去にはこんなツイートがあった。こういった意見に対して、専門紙記者はこう語る。

 

「野党は国会で疑惑の追及しかしていないというのは、まったくの誤りです。国会では大小さまざまな委員会が開かれていて、疑惑の追及が行われているのは、総理が出席する予算委員会などの一部の場で、さらにその一部の時間です。国会全体の審議時間から見ればわずかな割合で、追及によって、ほかの問題を審議する時間がなくなるということはありえません。今国会でも、新型コロナウイルスはもちろん、その他の問題についても、さまざまな場で審議が行われていますよ」

 

《本当に問題があると思うんだったら、警察、検察に調査を任せろよ。 桜を見る会を追求することが国会議員のやる仕事かよ》

 

と、ツイッター上には国会における疑惑の追及自体に反対する声もあったが、前出の専門紙記者はこう解説する。

 

「国会の仕事は法律を定めることだけと思っている人も多いですが、参議院の子供向けのホームページに『国会は、内閣が決められた予算に従って経費を正しく使ったかどうかなどを審議します』と書かれているように、予算が正しく使われたかチェックする役割もあるんです。公費を使って開かれた『桜を見る会』が『各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労する』という本来の目的から外れ、私的に利用された疑いがあれば、国会議員には追及する責務がある。むしろ、“予算”について話し合う予算委員会でこの問題をやるのは、あたり前のことなんですよね」

 

さらに、国会には内閣が法律を適切に執行したかを監視する役割もある。汚職によってIR法の成立過程そのものに疑義が生じている「IR疑獄」や、内閣によって法の執行が歪められた疑いのある「森友・加計問題」などを追及するのも、国会議員がしなければならない仕事なのだという。

 

「『別の重要な問題があるから、野党は疑惑なんか追求している場合ではない』といった言い回しは、なぜか第2次安倍政権になってからよく聞くようになりました。でも、実際の国会では“どちらか”ではなく、“どちらも”行われていますし、国会議員が疑惑の追及を止めてしまうことは、むしろ憲法や法律で定められた役割の放棄になってしまうんです」(前出・専門紙記者)

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