オミクロンで“軽症死”が急増中…医師は「肺炎より持病の悪化」と指摘
画像を見る 【グラフ】全国の重症者、死亡者数はピークアウトしていない

 

■オミクロン株による、誤嚥性肺炎での死亡例も

 

さらに「誤嚥性肺炎」で命を落とす人も目立つという。

 

「誤嚥性肺炎とは、口やのどの雑菌がなんらかの理由で肺に入り込み、菌が増殖して起こる肺炎。高齢者の場合、オミクロン株に感染して発熱や倦怠感が起こると、のどの筋力が低下して正常に働かなくなり、口の中の雑菌が食べ物や唾液と一緒に誤って気管に入ってしまうことがあります。CTを撮ると、肺全体が真っ白になるコロナ肺炎とは異なり、右側の肺の下部に炎症が広がる誤嚥性特有の肺炎を起こしていることがわかります」(鹿野先生)

 

鼻からのどまでの上気道で増殖しやすいオミクロン株。本来、上気道には病原体などを吐き出す防衛機能があるが、のどの痛みや腫れにより、その防衛機能であるバリアが損なわれて誤嚥性肺炎を招くケースもあるという。

 

さらに“持病の悪化による死亡”という第6波の特徴によって、医療現場では新たな問題が起きていると、岡教授は語る。

 

「第5波までは、入院患者はコロナ肺炎だけだったため、重症化すれば人工呼吸器を使い、ステロイド剤、レムデシベルなど治療薬で対処していました。対処法が限定されているため、ある意味、闘いやすかったのです。しかし、オミクロン株の感染者はさまざまな持病が悪化するため、今までのような一辺倒な治療が通用しません。誤嚥性肺炎には抗生物質を使い、心不全の患者には血圧を調整する薬や利尿剤を使用する……など、持病に合わせた治療が求められる。感染症の専門医が腎臓、心臓、糖尿病の分野にまで対応しなければならない状況なのです。『総合医療医』という存在が少ない、日本の縦割り医療の限界も垣間見えます」

 

では“コロナ軽症”による死亡を防ぐには、どうしたらよいのか?

 

「死亡者数を減らすためにも、ワクチンの有効性を回復させる、3回目のワクチン接種が重要です。第5波が急速に収束したのは、ほとんどの高齢者への2回目のワクチン接種が終わっていたことが大きい。現在、3回目のワクチンの接種率が思うように上がっていないなか、高齢者施設だけでなく、報道されていない医療施設でのクラスター感染も頻発。予断を許さない状況が続いているのです。今からでも3回目の接種をして、この悪い流れを断ち切ることが求められています」(岡教授)

 

オミクロン株は風邪と変わらないーーその油断の陰で、“軽症”でも亡くなる人は増え続けている。

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