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電気代の高騰が止まらない。6月は、5月から60円上がって8,565円に。’21年1月の6,317円と比べると、1年半で月2,000円以上もの値上がりだ(東京電力・平均モデル)。そんな高騰する電気代への対策について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■各地方でキャンペーン続々。いっぽう国は……

 

高騰は今後も続きそうなので、電気代がかさむ夏本番を前に、節電を考えたいところ。なかでも効果が高いのが、古い家電製品を省エネ性能の高い新しいものに買い替えることでしょう。

 

たとえば冷蔵庫だと、15年前のものを’21年モデルに買い替えると年間4,023円、10年前のものだと年間2,970円の電気代が節約できます(’22年1月・エネチェンジ)。

 

とはいえ家電は高く、なかなか思い切れませんが、買い替えに補助金を出す自治体があります。

 

代表的なものは東京都の「家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)」です。古いエアコン、冷蔵庫、給湯器を、都の省エネ性能基準を満たすものに買い替えた東京都民に、東京ゼロエミポイントを付与します。

 

ポイント数は買い替えたものによって決まりますが、もっとも大きいものは501リットル以上の大型冷蔵庫で、2万1,000円相当のポイントがもらえます。このうち1,000円分はLEDの照明器具やランプを購入する際に使える割引券に、残りは商品券(JCBギフトカード)に交換できます。

 

長野県佐久市の「省エネ家電製品普及促進事業補助金」は、現金が支給されます。対象は、従来の照明をLEDに替えた場合と、’11年より前に製造された冷蔵庫を市の定める基準を満たすものに買い替えた場合。冷蔵庫だと最大でかかった費用の5分の1、上限3万円の補助金が出ます。

 

また、宮城県仙台市の「省エネ家電買い替えキャンペーン」は、抽選で秋保温泉の宿泊券3万円分などが当たります。対象は、省エネ基準を満たすエアコン、冷蔵庫に買い替えた市民で、6月1日から実施予定。買い替えを検討中の方は購入日にご注意ください。

 

いっぽう国は、4月26日に物価高の緊急対策を発表しました。その内容は次の通りです。

 

〈1〉ガソリンの高騰に対抗する補助金を1リットル25円から35円に引き上げ、9月まで延長。
〈2〉住民税非課税世帯などの子ども1人につき5万円を支給。
〈3〉中小企業の無利子無担保融資の延長。

 

全体で6.2兆円規模だといいますが、これで「生活が楽になる」と感じる方がどれくらいいるのでしょう。

 

というのも、電気代が上がり始めたのは’21年9月です。私たちが物価高を感じてから半年以上たった今、「緊急」では遅すぎます。

 

また、電気代には何の手当てもありません。基本料金の補助などを行えば国民全体を幅広く支え、私たちの家計もひと息つけるのに、そうしないのは「電気代を下げるには原発が必要」という機運を高めたいからでしょうか。

 

暮らしは自分で守るほかありません。家電の買い替えを含め、夏に向けて節電策を考えましょう。

 

【PROFILE】

荻原博子

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある

経済ジャーナリスト

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