「5月9日付の読売新聞に《築40年以上の病棟が全国1568か所 建築費高騰で建て替え負担大…医師不足重なり閉院検討も》という見出しの記事が出ました。
都道府県別に、法定耐用年数を超えて老朽化している病院数と、その割合を独自調査。病院全体の23%が築40年超えで、8%が築50年超えでした」(医療ジャーナリスト)
都道府県別では、老朽化率の高いワースト1は福島県(34%)で、青森県(32%)が続き、もっとも老朽化率が低いのが静岡県(13%)だった。
病院の老朽化が進むと、今後は建て替えの必要が出てくる。しかし資材や人件費の高騰などで建築費が跳ね上がっており、そのまま閉鎖される病院が出てきているのが現状だ。
■医療の空白地ができると命に関わる事態にも
たとえば東京都の吉祥寺駅周辺では、24時間体制の二次救急病院が、この数年のうちに、建物の老朽化や医師不足などが原因で、立て続けに閉鎖している。
唯一残っていた吉祥寺南病院も、建て替え費用の捻出が難しいことなどから2024年秋に休止。あらたな運営先の医療法人が見つかったものの、建て替えが完了して診療を再開するには数年かかりそうだ。
「医療の空白地が生まれれば、いざというときに救急車の受け入れが困難になり、命に関わる事態が起きることもあります。老朽化による病院閉鎖は、医療崩壊を招きかねません」
こう警鐘を鳴らすのは、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんだ。
今後、法定耐用年数である築40年を超える病院が増加していく要因を、分析する。
「1961年、国民皆保険制度が成立後、経済成長とともに病院建設が急増し、1980年代のバブル期に向かう好景気も追い風になり、病院大国といわれる状況でした。
膨れ上がった医療費を問題視したのが旧厚生省。1985年の医療法改正で、都道府県ごとの病床数を定めたのです。簡単に病床を増やせなくなることから、制度化される前に駆け込みで病院が乱立する事態となったとみられます」
それから約40年が経過し、一気に建て替え問題が表面化することになったのだ。
栃木県立岡本台病院と、栃木県立がんセンターの2病院の建て替え問題に直面する栃木県医療政策課の職員が語る。
