■24時間体制で医療を提供していると改修は非常に困難に
「岡本台病院では、空調設備の不具合や配管の損傷、病棟のエレベーターの故障などがありました。
がんセンターは老朽化による排水管の詰まりが広範囲で起きています。手術室間の廊下で蒸気漏れが発生したり、局地的な大雨で雨水が浸入したり、モーターの劣化により煙が発生したりすることもあり、その都度、応急処置をしながらの対応となっております」
船橋市立医療センターの建て替えを検討している、船橋市病院局新病院建設室の担当者も、建て替えの必要性に関して以下のように回答する。
「昭和58年の開院当初に建てられたのは、正面玄関のあるB館で、約40年経過しています。次に建てられた外来診察室があるC館や、救命救急センターや手術室があるA館も約30年が経過しています。
配管からの漏水などのトラブルが発生すると、診療機能への影響が出てしまいます。これまで大きな事故等には至っておりませんが、天井内配管からの漏水は発生したことが複数あります。
建物や設備については、随時改修・更新工事を行っていますが、救命救急センターとして24時間体制で医療を提供しているため、医療提供を休止できない部門では、給水・給湯配管・排水管の根本的な改修をすることは非常に困難で、漏水事故等を防ぐための対策に苦慮しています」
また狭あい化も大きな問題。
「当センターが三次救急医療機関や地域がん診療連携拠点病院としての役割を担っていくためには、医療技術の進歩に合わせた医療機器や治療法の導入と治療室の確保が必要ですが、最新の医療機器を設置するうえで広さが足りない、重い機器を設置できないといったことから、最新の医療技術が導入できず、技術の進歩に対応できないことが問題になっています。
そのほか、待合スペース・通路や検査室なども狭く、患者さんにご迷惑をかけてしまっている状況ですので、建て替えができないとこういった問題も改善できないということになります」
さらに、開院以来、建物の増改築を繰り返してきたため、機能が分散化されるというマイナス面もあるという。
こうした理由から、移転・建て替えに向けた検討、作業を進め、昨年5月には、移転・建て替え工事の施工者を決める入札手続きを開始。ところが……。
「参加者が辞退し、入札は中止になりました。辞退者へヒアリングを行った結果、辞退の理由は、『工事費の乖離及び工期の不足』で、設備業者が非常に多忙な状況であり、このことが工事費や工期にも影響しているとのことでした」
このように、建設費用の高騰が、建て替えの大きなネックになっているのが現状のようだ。そもそも、こうした建て替え費用の捻出が困難なほど病院経営は厳しいと、前出の上さんは語る。
「日本の医療費は、物価の安い地域、高い地域にかかわらず、厚労省が全国一律になるように設定しています。2年に1度、診療報酬が見直されるのですが、2026年はプラス3.09%と30年ぶりの高水準となりました。とはいえ、医療機器や医薬品は輸入品が多く、急速に進んでいる円安の影響も受けやすい」
多くの医療機器の原材料となるナフサ不足も、さらなる負担増の一因になるはずだ。
「物価上昇によって人件費や入院患者の食材費、光熱費など維持費も跳ね上がっています。診療報酬がわずかに増えたからといって、病院の経営が苦しい状況を変えることは難しいと思います」(上さん、以下同)
