「何歳まで妊娠できるかわかる検査」と話題のAMH検査。AMHとは「抗ミュラー管ホルモン」という、卵巣機能の予備能力がわかるホルモンの名称。一般的に「卵巣年齢」といわれていて、卵巣のなかに、卵子になれる卵胞の数がどのくらい残っているかがわかるというもの。血液検査だけですむと聞いた30歳本誌記者は、早速体験するべく、いくつかの産婦人科に電話をかけてみたのだが。

「不妊治療の一環なので……」と、AMH検査のみを受けられる病院がなかなか見つからない。そんななか、東京・丸の内にある杉山産婦人科は受けることができるという。まずは、担当していただく杉山力一先生に「何歳まで妊娠できるか」がわかる検査があると聞き、来院した旨を伝えると……。

「AMHを見ても、”◯歳まで妊娠できる”などとはいえません。AMHを測ることによって、今の卵巣の機能はわかりますが、将来を予想するものではないんです。さらにいうと、卵子は年齢に比例して衰えていくものなので、40歳の人がAMHの数値がよかったからといって、じゃあ50歳で産もう、とはいきません。35歳の人が受けて、数値が実年齢より若かったからと安心するのもいけない。ただ、焦っているなかで、子どもが産めるか産めないかの判断はできると思います」

ちなみに、このときは取材なので検査前に先生からお話を聞くことができたが、通常は初回の問診はない。そしていよいよ検査へ。この日は採血のみで終了。費用は、杉山産婦人科の場合、AMH検査は自費診療のみで5千250円、そこに初診料や再診料が加わる。結果が出る1週間後に再び杉山産婦人科を訪れた。まずは診察室に呼ばれ、内診超音波検査(2千100円)を受ける。そして数分後、杉山先生と対面。検査結果は?

「AMHは2.09……低いですね。現時点で卵巣年齢が38歳くらいということです」。ショック! 30歳という年齢でこの数値は、どうとらえたらいいのだろう?「たとえば10年後に妊娠できますか? と聞かれたら、そのころの卵巣年齢は48歳。ふつうに子どもを産める人に比べたら厳しいですよね。でも、内診超音波検査の結果、子宮も卵巣もきれいだったので、今ならすぐにでも妊娠できると思うんですけど……」。残念ながら予定はない。記者の場合、体質としかいえないとのこと。では、数値を下げないための対策はあるのだろうか?

「ピルを飲んで排卵を抑制するしか方法はありません。将来の妊娠を確約できるわけではありませんが、子どもをつくる予定がないのなら排卵する必要もなく、排卵することで乳がんにもなりやすくなる。排卵は子どもをつくるためだけの作業なので、止めておいても害はありません」

排卵のたびに、卵巣は疲労するともいわれている。最近は、副作用がないに等しい低用量ピルもあるという。さらに、今回の2という数値が、去年より急降下した数値だった場合は、早急にピルを飲むべきだという。最後に杉山先生はこう語る。「AMHが1未満(42歳以上程度)でない限り、諦めることはありません。現在、高齢出産を検討している方は、希望がかなうかどうかを見るために、検査を受けるのもアリだと思います」

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