現在、赤坂ACTシアターで公演中の『赤坂大歌舞伎「怪談乳房榎」』で座頭を務める中村勘九郎(31)。「父が愛した土地で、父が愛した演目をやらせていただくというのは、本当にありがたいことです」と感謝の言葉を口にする彼が、歌舞伎初心者にはまずコレを観てほしい、という作品をオススメしてくれた。

『野崎村』は、実際に起きた男女の心中事件を題材にしたお芝居。歌舞伎の初演は1792年だという。「女性の心理描写が素晴らしく、特に女性の方には共感してもらえる部分がたくさんあると思います」(勘九郎)

『身替坐禅』は「恐妻家を持つ主人が浮気をするという松羽目物(能、狂言の曲目を原作としたもの)です。単純にストーリーがわかりやすいですね」と勘九郎。コミカルなやりとりが観客の笑いを誘う。

『らくだ』は”らくだ”と呼ばれる男の弔い金を用立てるため、久六と半次コンビが奔走する物語。「死体に”カンカンノウ”(中国・清時代の歌に振りを付けたもの)を踊らせるという、斬新なコメディです」(勘九郎)

オススメするポイントを勘九郎はこう語った。

「この3つを選んだのは、歌舞伎はいろいろなパロディであることを知っていただきたかったからです。それぞれ『野崎村』は人形浄瑠璃、『身替坐禅』は能、『らくだ』は落語を歌舞伎にした演目です」

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