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「《涙色の花束を君に》……、新曲の歌詞を聞いたとき、私の目に浮かんだのは、あの密葬の日、花束を抱え悄然とたたずむヒカルの姿でした」

 

そう語るのは、宇多田ヒカル(33)を昔から知る音楽関係者。今年4月、5年ぶりに、歌手として本格的に再始動した宇多田。朝ドラ『とと姉ちゃん』の主題歌である『花束を君に』は、4月15日からフルバージョンが配信されているが、被災した熊本の人々の心も癒しているという。“歌い方が変わった”という評価も多いが、彼女自身はこうコメントしている。

 

《活動休止中に自分の発声方法を見直せたし、妊娠をきっかけに前より健康的な生活習慣も身についたし、赤ん坊に毎日、日本の童謡を歌ってるうちに日本語を丁寧に伸びやかに発声する癖がついたのかもしれねーな》

 

以前と変わらぬように思える“ヒカル節”だが、前出の音楽関係者は言う。

 

「’13年8月の母・藤圭子の自殺を、ヒカルはにわかに受け止めることができませんでした。滞在していたロンドンから日本に帰国したのも、訃報から4日後のことです。密葬の際、ヒカルは花束をしっかりと胸に抱きしめていました」

 

9カ月後の’14年5月に、彼女はイタリア人男性と結婚し、その後に妊娠した。

 

「妊娠中にも、ヒカルは曲作りを少しずつ始めていましたが、なかなか母親の死から立ち直れず、作曲も難航したのです」

 

母の一周忌のころから“母性”という言葉をさかんに使うようになっていたという宇多田。いずれは母になるであろう自分、そして自分を置いて天国に旅立っていった母……、その狭間のなかで葛藤を続けていた彼女を救ったのが、昨年6月末という長男の誕生だったのだ。前出の音楽関係者が続ける。

 

「“母になった”という実感が彼女に自信を与えたようです。ヒカルは偉大な歌手でありながらも、次第に感情のコントロールを失っていった母・藤圭子に複雑な感情も抱いていました。それが出産を経て、自分を生んでくれ、歌手への道を拓いてくれた母へ素直に、深い感謝を捧げることもできるようになりました。《愛おしい人愛おしい人どんな言葉並べても君を讃えるには足りないから》など、『花束を君に』には、随所に母への思慕が込められています。歌詞の解釈もさまざま取り沙汰されていますが、実は母への鎮魂歌だったのです」

 

ついに母の死を乗り越えた宇多田。父の照實氏は《(ヒカルは)ライブをやりたがっています》と、ツイートしているが、愛息を連れて帰国する日も近そうだ。

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