「賛否両論が続く『炭水化物抜きダイエット』。反対派、賛成派ともに健康への影響などについて議論を戦わせてきましたが、私からはっきりと問題提起をさせていただきます。炭水化物抜きダイエットは、本当に痩せるのか!?」
そう語るのは、順天堂大学教授の小林弘幸先生。今回は、「炭水化物抜きダイエット」の真偽に小林先生が迫ります。
「このダイエット、確かに一時的には痩せますが、その後のリバウンドが激しいのです。糖を摂らなくなると、体はエネルギー源を失い、脂肪だけでなくタンパク質も分解するように。筋肉も消費されるので代謝が下がり、同じカロリーを摂取しても太りやすい体になってしまいます」
血流にも問題があるという。糖は全身に酸素を運ぶ、赤血球のエネルギー源。全身の細胞に酸素を届ける力が弱くなるので、老化を加速することも。
「その分、たくさんタンパク質を取ればいいのでは? と思った方もいるでしょうが、一日に必要なエネルギー源を糖に頼らず摂取しようと思ったら、毎日大量のお肉を食べないといけません。若い方ならいざしらず、ある程度の年齢になると『超肉食生活』を送るのは、胃腸の負担も大きいかと思います」
炭水化物は適量を摂りながら、一日の総摂取カロリーを一定量に保つことが、結局はダイエットのいちばんの近道だという。小林先生は、夜の食事は炭水化物を控え、アルコールもワインをグラスに3杯程度。糖分の多いビールや日本酒は飲まないという。
「さらに、あらかじめ朝と昼の食事の量を控えめにする『逆算の食事』で、一日のカロリーを調整しています。とはいえ、朝や昼を抜けばいいというものではありません。空腹を我慢したり、食事の量を減らしすぎると、飢餓遺伝子が活発化して、かえってエネルギーをため込みやすい体になってしまいます」
とくに朝は、体を目覚めさせるためにも、きちんと朝食を摂ることが大事だという。小林先生のオススメは「卵かけご飯」だ。
「脳の唯一の栄養源はブドウ糖ですので、朝、頭をスッキリ目覚めさせるために1膳のご飯を。食欲がないときでも食べやすく、そのうえ、卵は一日の必須アミノ酸の必要量を満たす完全栄養食です」