「腸内細菌の研究は昔からされていますが、この10年ほどで遺伝子解析技術が飛躍的に進化。これによって、近年、腸内細菌の新たな仕組みや働きが、相次いで発見されるようになったのです」

 

そう語るのは、農学博士の高畑宗明先生。『「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかない』(講談社+α新書)の著者もある、腸内細菌の専門家だ。

 

腸内には100兆個もの腸内細菌が存在し、“腸内フローラ”と呼ばれる生態系を形成する。「彼ら」が日々、食物の分解や代謝など、それぞれの役割をきちんと果たすことで、私たちは生命活動を保つことができている。

 

「つまり、腸内細菌の多様性が保たれ、バランスよく働いていることが健康を保つカギ。しかし最近の日本人は、腸内環境が昔に比べて悪化、それによって、病気も増えているのです」

 

たとえば大腸がんの死亡者数は’89年から’13年までの24年間で、年間約2万3千人から約4万8千人へと倍増。現在では、女性の死亡原因第1位となっているほか、大腸ポリープや潰瘍性大腸炎なども、増加の一途をたどっている。

 

さらに最近では、腸内環境が腸の病気のみならず、ストレスや認知症、自己免疫疾患の発症などとも関わっていることが解明されつつあるのだ!

 

また、“ヤセ細菌”の存在も明らかになっている。昨年11月、生物学誌『セル』に、「腸内細菌・クリステンセネラセエが多い人は痩せる傾向にある」という論文が発表された。

 

「これは、この菌が作り出す短鎖脂肪酸という物質の働きによるものです。短鎖脂肪酸は食べすぎてしまった際に交感神経を刺激することで、エネルギーの消費量を増やし、脂肪の蓄積を予防する働きがあります。さらに、脳に直接働きかけて、食欲そのものを抑制する作用も、明らかになっているのです。そのほか、クロストリジウムという菌群のなかで、病原菌を除く一部の菌やフィーカリバクテリウムも短鎖脂肪酸を作るので、これらもヤセ菌といえるでしょう」

 

100兆個から成る腸内細菌が持つ新たな健康効果は、今後さらに明らかになっていくはず。いつまでも心身ともに若々しく、健康でいるために、今日から腸内ケアを始めましょう!