「“無性にチョコが食べたい!”とか“プリンが食べたくて仕方ない!”といった欲求は、体がその食べ物を求めているのではなく、そこに含まれる栄養素を必要としているからなんです。だから、不足している栄養素に注目してダイエットをするのは、理にかなっていると思います」
「マーシャ博士のリスト」を参考にこう語るのは、ダイエットコーチでもある管理栄養士の麻生れいみさん(52)。「マーシャ博士のリスト」とは、味と香りの基礎研究を行うアメリカの非営利科学研究機関が発表したリスト。ある食べ物が食べたくなったときに不足していると考えられる栄養素と、その代わりに食べると欲求が収まるものが紹介されている。
麻生さんは、“無性に食べたくなるもの”で、体が必要としている栄養素を知り、代わりにその栄養素が含まれ、ダイエットにも有効なものを食べることは、理想的だと太鼓判を押す。
「減量するためにカロリーを減らしたり欠食したりすること、多いですよね。でもそうすることで、必要な栄養素まで入ってこなくなり、体は飢餓状態になったと勘違いする。いつも栄養を求めている状態になるから、少しでも気を抜くと、食べすぎてしまうことになるんです。リバウンドによるダイエット失敗の原因の多くはここにあります」
逆に、必要な栄養素を取りさえすれば、カロリーや食べる量はそれほど気にしなくていいのだとか。マーシャ博士のリストはアメリカ版のため、なじみのない食品も多い。そこで、日本のスーパーやコンビニでも手に入れやすい食品にして、麻生さんが解説してくれた。
■あんこが食べたくなったら「ゆで卵」を
「クロムやリン、硫黄、そしてマンガンはミネラルの一部。これらが不足しているときは、甘いものが食べたくなります。ミネラルは現代の食生活で取りにくい栄養素のひとつ。海藻や小魚に含まれています」
クロムやリンは、ゆで卵や乳製品に多く含まれている。あんこが食べたくなったら、代わりにゆで卵を食べるのがよさそう。同じく硫黄は、髪や肌、爪などを作る重要なミネラル分。それらが足りていないと、カスタード系のスイーツに走りがちとか。硫黄はタンパク質に多く含まれているので、プリン好きは、肉や魚・大豆食品を使った料理を増やそう。
「イライラしているときにチョコレートが食べたいと思うのは、マグネシウム不足。置き換えとして、豆類や海藻類を食べてみて。枝豆やアーモンドは、マグネシウムをたっぷり含んでいて、精神を安定させる効果もありますよ」
■かき氷などの氷菓子を食べたくなったら「レバー」を
この季節は冷たくて甘いものを体が欲するが、暑さのせいばかりにせず、栄養素不足を疑ったほうがいい。
「熱中症予防のためにも、水分はたっぷり取ったほうがいいのですが、だからといって炭酸飲料は糖分が多いのでNG。コーラやサイダーが飲みたいときは、カルシウム不足も考えられます。また氷が食べたくなるときは、鉄分不足ということも。甘いシロップのかかったかき氷に走るより、レバーや魚、貝類を食べるのがおススメです」
■朝から無性にパンが食べたくなったら「納豆や豆腐」を
朝から無性にパンが食べたくなるのは要注意。“中毒”になっている可能性があるという。
「パンに多く含まれる炭水化物(糖質)は脳に直接働きかけ、ドーパミンという物質の分泌を促し、いい気持ちにさせてくれます。それがクセになると、“無性に食べたい”という欲求に駆られるようになり“中毒”のような状態になってしまうんです」
マーシャ博士のリストによると、パンやトーストが食べたくなるのは窒素不足が原因。パンの代わりに朝からステーキ……というのは難しそうだが、納豆や豆腐でも十分、満足感が得られそうだ。また、生理前の異常な食欲は、亜鉛不足によるもの。肉や魚、スルメなどの乾物を食べるのがおススメ。
「体は“食べたもの”で作られていることを忘れずに、欲している栄養素を把握して取り入れるようにすれば、余計なものは食べずに、かつ無理なく、驚くほど痩せることができるはずです」