2035年までに世界人口の半数が「太りすぎ」になるという見通しが発表された。肥満が社会問題化する欧米で注目を集めるのが「赤皿」食事法。そのダイエット効果とは?
「赤をはじめ、暖色系の食材には食欲を増進させる作用がありますが、赤い食器を使うと、食べる量が少なくなる傾向があることがわかっています」
こう話すのは、色彩専門家で日本ユニバーサルカラー協会理事の南涼子さんだ。人間は食事をする際、まず視覚からの情報で食べ物を認識する。その際にもっとも重要となるのが色だ。そして、色は人間の食欲に大きな影響を及ぼす。たとえば、トマトやオレンジ、にんじん、パプリカなどは食欲をかきたてるが、“赤い食器”にはまったく逆の作用があるというのだ。
「イタリア・パルマ大学の研究では、赤い皿にのせて提供されたポップコーンとチョコレートチップは、ほかの色の皿にのせたものに比べて消費量が少なかったという結果が報告されています」(南さん・以下同)
こうしたデータから、食べすぎを防ぐには赤い食器を使うのが効果的だという研究論文が、海外ではいくつも発表されている。そのなかには、食欲を減退させるイメージがある寒色系の食器との比較がされているものも。
「スイス・バーゼル大学の研究では、スナック菓子を赤・青・白の皿に入れて提供したところ、青や白の皿に比べて赤い皿では半分程度しか減りませんでした。さらに、アイスティーを赤いカップと青いカップに入れて比較すると、飲まれた量は赤いカップのほうが55%少なかったんです」
食欲を半減させるとは驚きだが、そのメカニズムは?
「赤は信号にもあるように“停止”を連想させます。そのため、赤色の食器類は回避的な心理を誘発するのではないでしょうか。また、色のコントラストがないと食べすぎてしまうという研究結果も。たとえば、白いソースのパスタを赤い皿で食べると、食べる量を少なくできると考えられます」
■赤皿との二重効果を狙ってダイニングには寒色系を
赤皿ダイエットは、皿を替えるだけという手軽さの一方で、その効果の高さに注意も必要だ。
「赤いカトラリーにも同様の効果があり、こちらも減量目的で食事の量を減らしたい人にはおすすめです。しかし、あまりに食欲を減退させてしまうため、やせ形の人はこの方法は使うべきではないとまで指摘されています」
皿だけでなく、ダイニング空間全体も模様替えすると、二重の効果が期待できるという。
「ランチョンマットやテーブルクロスは、食欲を抑制して“期待感”や“興奮”を取り除くグレーに。照明は、蛍光灯の昼光色のような青い光にすると、食欲低下します」
また、目の前に並んだ料理が色とりどりであるほど過食につながるそうだ。
「緑や青っぽい海藻サラダやグリーンサラダなどから食べ始めて、全体の色の数を減らしてください。そうすると、寒色系の食べ物の効果で食欲が抑えられて、早めに満腹感が得られます」