発酵食品が大ブームの今、びっくりするほどお手軽につくれる調味料があった。それは「発酵たまねぎ」。発酵たまねぎは、文字どおりたまねぎを発酵させたもの。発酵たまねぎの作り方は、たまねぎをすりおろし、ビンに入れ、冷蔵庫で2週間ほっとくだけ。その日から常温保存が可能だ。
「何も加えずに、コクとうまみの万能調味料ができるんですよ」と語るのは、天然酵母にこだわるパンの店「はつたもの」店主の増島智子さん。発酵たまねぎに出合ったのは10年前、ベーキングパウダーの代用として天然酵母を勉強したとき。
「cobo(酵母)を研究・開発する『ウエダ家』の講習会のテーマが、料理に使える“たまねぎ酵母”だったんです。家に持ち帰って定番のトマトソース煮に加えてみると、コクと風味が驚くほど増して。以来、スープや炒め物など、さまざまな料理に加えています。コンソメやだしの代わりにもなるので、もう手放せないですね」(増島さん)
発酵たまねぎは、料理に加えるだけで肉に負けない奥行きを出し、素材の味を引き出してくれる。たまねぎをすらずに、せん切りやみじん切りにしてもいいそう。
【せん切りタイプ】
繊維に沿って薄くせん切りにしたたまねぎを、すりおろし同様に2週間冷蔵。発酵の過程で、水分とほどよい酸味が出てくる。ピクルス感覚でそのまま食べても、存在感を生かして野菜炒めの具にしてもOK。
【みじん切りタイプ】
せん切りと同じく、水分とほどよい酸味が出てくる。シャキシャキした食感を生かしたいドレッシングやソースのほか、少量でもコクが出せるので、炒めたまねぎを使う料理に代用するのがおすすめ。
また、よりフレッシュ感を味わいたい人は、発酵後もそのまま冷蔵保存するのがおすすめ。非加熱なら酵素やビタミンCも壊れない。その健康効果を、用途別に内科医でイシハラクリニック副院長の石原新菜先生が解説してくれた。
■野菜とあえる
「整腸作用、血糖値のコントロール、血液サラサラ効果を高めるなら、水溶性食物繊維が豊富なモズクなどの海藻と合わせるのがおすすめ。そのほか、こんにゃく、りんご、大豆などにも同様の効果があります」(石原先生・以下同)
■つけダレに使う
「温野菜のつけダレにおすすめ。その際、キャベツ、セロリ、にんじんなど、がん予防にいいとされる「デザイナーフーズ」を合わせるのが効果的です。また、暴飲暴食が続いたときの胃腸のリカバリーにも」
■マリネ液にする
「DHAやEPAなど魚介類の良質な脂にも血液サラサラ効果があるので、一緒に食べると相乗効果が期待できます。また、同じ発酵食品の酢とも好相性。ビタミンB1の吸収を高め、血糖値の上昇を抑えます」