「トマトよりもスイカのほうがリコピンが多いというと、みなさん驚きますよね。実際、スイカの赤い果肉の部分にトマトの1.5倍のリコピンが含まれているんです」

 

国内で6割以上のシェアを誇るスイカの種苗会社「萩原農場」の萩原斗志弘さんが語る。かつては栄養なんてほとんどないとされたスイカだが、最近、その美容パワーに注目が集まっている。総合美容情報サイト「スキンケア大学」のオフィシャルビューティアドバイザーである米村亜希子さんも、スイカの美容効果に注目する。

 

「リコピンは肌サビ防止に効果的です。肌サビとは、肌が酸化してしまうこと。りんごを切って置いておくと茶色になりますよね。人間の肌も同じで、活性酸素(呼吸で取り込んだ酸素中に2~3%含まれる悪い酸素)と肌の脂が結合することで、シワやシミなどの老化が引き起こされます。インナービューティとして、活性酸素を除去するリコピンをたっぷり含んだスイカを食べることは、おすすめです」

 

スイカの美容効果を語るうえで欠かせない、もうひとつの成分がある。それが「シトルリン」というアミノ酸の一種。血管の若返り、血流改善、冷え性やむくみの改善、疲労回復、滋養強壮など、さまざまな効果を発揮する優れものだ。

 

「スイカの学名は『シトルラス・ラナタス』。シトルリンは、1930年にスイカの果汁から発見された成分です。ウリ科以外の食べ物にはほとんど入っておらず、保有量がいちばん多いのもスイカ。しかも、皮の白い部分には、果肉の2倍のシトルリンが含まれているんです。赤いところを食べ終えて捨ててしまう人がほとんどだと思いますが、じつはもったいない。少し手を加えれば白い部分も食べられます」(萩原さん・以下同)

 

千切りにして塩昆布と混ぜるだけでもおいしいという、スイカの皮の白い部分。ほかにも、白い部分をおろし、ヨーグルトに混ぜて冷凍するシャーベットや、千切りにして豚肉と炒めたりするのもおすすめ。また、スイカの効果は、便秘の改善にも発揮されるという。

 

「品種改良検査のため、毎日スイカを食べているうちのブリーダー(品種開発者)は、お通じがよくなったと言っています。スイカに手を入れて種を取る作業をしているパートの方は、『手がスベスベして白くなった』と。皮に保湿成分があるんですね。西部開拓時代には、スイカが水筒がわりだったという説もあります。水分に加え栄養もとれますから、いわば天然のスポーツドリンクのようなものなのです」

 

効果的なスイカの食べ方は、毎朝、200グラムを摂取すること。寝ている間にエネルギーとして消費されたブドウ糖を補給し、体にたまった老廃物もリセットできるという。ただし、果糖が入っているので食べすぎには注意。ところで、最近はカットされたスイカが出まわっているが、おいしいカットスイカの見分け方は?

 

「果肉の部分が赤いスイカを選びましょう。赤ければ赤いほど、リコピン保有量が多いです。また、しっかりした種が入っているスイカは、交配した温度条件がよく、受精がうまくいった証拠。ただし昔に比べて今は品質が安定していて、糖度が低いものが出回ることはほぼありませんから、味の心配はそんなにしなくて大丈夫です。家でカットする場合は、ラップをぴったりかけて空気に触れないようにすると味の劣化が少ないです。余ったスイカをブロック状にカットして種を取り、冷凍庫に入れておくと『冷凍スイカ』として楽しめます」

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