気象庁が発表した7〜9月の3カ月予報によると、平均気温は全国的に高く、残暑も厳しい見込み。すでに猛暑日も記録されていて、今年も暑い夏になりそうだ。そんななかで、熱中症はもちろんだが、もうひとつ気を付けたいのが脳梗塞と心筋梗塞だ。実はこの2つ、夏場の発生が圧倒的に多いことをご存知だろうか?
「それは、暑さによる脱水が原因です。汗をたくさんかくと血液のなかの水分が失われ、血流はドロドロに。血液の密度が高くなってしまいます。すると今度は血を固める働きを持つ『血小板』が、赤血球や白血球を取り込みながら、『血栓』を作り始めるのです。これが脳や心臓の血管に詰まると、脳梗塞や心筋梗塞を発症させるのです」
そう解説するのは順天堂大学教授の小林弘幸先生。寒い冬場に発症する印象が強い脳梗塞や心筋梗塞だが、暑い夏こそ注意が必要だという。そこで、小林先生に脳梗塞&心筋梗塞を減らす“水とお風呂のセルフケア術”を聞いた。
【なんといっても重要なのは水分補給】
「お酒はNGです。よく冷えたビールが美味しい季節ですが、アルコールには発汗作用や利尿作用があるので、かえって血管内の水分を奪ってしまいます。さらに深酒は交感神経を刺激し血管も収縮させるので逆効果。1日1、2リットルを目安に、汗をかいたらより多く、こまめに『水』を補給しましょう」
【温度調節が大切】
「エアコンを使うのを我慢し過ぎると熱中症の危険性が高まりますが、冷やしすぎてはいけません。節電効果で注目の扇風機も、一日中風に当たっていると体表の温度が奪われます。また、風が汗を飛ばしてしまうことから、汗をかいた実感が乏しく、脱水症に陥りやすくもなるのです。そんな状態で炎天下に出れば、急激な温度上昇で自律神経は乱れ、血流は悪くなるでしょう」
【ぬるめのお風呂が効果的】
「全身の血流を支配する自律神経は急激な温度の変動を好みません。お風呂もぬるめのお湯にゆっくりと浸かるよう心がけましょう」
また、脳梗塞も心筋梗塞も、必ず事前に『予兆』があると小林先生は言う。これらはほどなく治ってしまうが、放置すると梗塞の危険性大になるので注意が必要だ。
「頭痛、胸が痛い、動悸がする、気が遠くなったなど、いままでにない異変を感じたらすぐドクターにかかりましょう。『首が痛い』という方が、心筋梗塞を発症した例もあるので、予兆は同じ場所に起きるとは限りません」