疑いたくなる民間療法や言い伝えも多い腰痛。はたしてどこまでホントなの? 腰痛治療に詳しい、王子病院整形外科・中原大志先生と、杏林大学医学部付属病院整形外科・長谷川雅一先生に、よく耳にする腰痛治療法・予防法の「ウソ・ホント」について聞いた。

 

【Q1 ぶら下がり健康器は効果があるの?】

「病院では、腰痛の方に『けん引』という治療を行います。機械で腰の筋肉を引っぱり、筋肉をリラックスさせるのです。ぶら下がり健康器も、自分の体重で腰を引っ張るので、デスクワークなどでたまった筋疲労などなら、効く可能性があると思います」(中原先生)

 

【Q2 電気風呂やジャットバスは効果があるの?】

「電気風呂はわかりませんが、ジェットバスは、入浴によって体を温め、筋肉のマッサージ効果も期待できるので、ふだんの生活でできる腰痛の対処法として、取り入れてもいいと思います」(長谷川先生)

 

【Q3 硬い布団とやわらかいベッド、どっちが腰にいい?】

「柔らかすぎて、腰が沈むようなベッドは腰痛になります」と語るの中原先生。では硬ければいいのかというと、それもよくないという。「硬いマットレスと中程度のマットレスを比較すると、中程度のマットレスのほうが腰痛にはいいといわれています。好みにもよりますが、体全体を“面”として支えてくれるような硬さ、適度に体が沈みこむ硬さがいいでしょう」(長谷川先生)

 

【Q4 温めるのと冷やすのは、どちらが腰にいい?】

「慢性の腰痛の場合は、絶対に温めるほうがいいです。ただし、腰をひねったりといった急性の腰痛の場合は、冷やしたほうがいいでしょう。温めると腫れが強くなり、かえって痛くなることがあります」(中原先生)

 

【Q5 冷湿布、温湿布とがあるが、どちらを使えば?】

「湿布の目的は、温めることでも冷やすことでもありません。湿布は、痛みを抑える鎮痛剤です。冷湿布にはハッカの成分が入っているので、貼るとヒヤッとする。温湿布には唐辛子の成分などが入っているので、ピリピリする。単なる『冷感』『温感』であり、決して筋肉の中まで温めるわけではありません。どんな湿布も効能は同じです」(中原先生)

 

【Q6 腰痛に効く食べ物はある?】

「ないですね。ただ高齢者では、腰痛の原因のひとつが骨粗しょう症の場合があります。こういう人の場合、カルシウム(乳製品や納豆など)やビタミンD(青魚やきのこ類など)をしっかり取ることをオススメします」(長谷川先生)

 

【Q7 腰痛の負担にならないセックスの体位はある?】

「慢性の腰痛では、腹筋と背筋、いわゆる『体幹』を鍛える運動療法が有用であることがわかっています。セックスをどうとらえるかにもよりますが、仮に運動としてとらえるなら、制限する必要はないと思います。ただし、痛みを我慢してまでやることはありません」(長谷川先生)

 

【Q8 マッサージチェアは効果があるの?】

「リラックス効果はありますが、慢性の腰痛を、マッサージチェアだけで治せるものではありません」(長谷川先生)

 

【Q9 腰痛に効果的なサプリメントはあるの?】

「腰痛に効くサプリはありません。サプリは基本的に栄養食品。もし腰痛に効くものがあれば、それは栄養食品ではなく薬になっています」(中原先生)

 

【Q10 腰痛になりにくい寝相はあおむけ、うつぶせ、横向き、どれ?】

「実際は、人間は寝ている間に寝返りを打っているので、寝相そのものは関係ありません。ただし、腰に負担がかかるスタイルはあります。うつぶせで、背中を反らした状態です。うつぶせで本を読むときの姿勢といえば、わかりやすいでしょうか。腰の筋肉の緊張を高めるので、腰痛の原因になります。また、ぎっくり腰などの場合は、うつぶせで寝るのはよくありません。横向きかあおむけで、膝を曲げた上体で寝たほうがいいでしょう」(中原先生)

 

【Q11 腰痛に効果的な「ツボ」ってあるの?】

「東洋医学では、腰痛に対する鍼灸治療が効果的だといわれています。ただそれは、急性腰痛(症状が出てから数カ月以内)の場合。それ以上の長期間にわたる腰痛持ちの人は、治癒するまではいかないといわれています。マッサージや温熱治療などと同じで、週に1回でもやることで痛みが和らぎ、日常生活がしやすくなるという効果は期待できるのではないでしょうか」(長谷川先生)

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