医学の常識は日々動いている。極端なケースでは、昨日までの常識が、今日から非常識になることも。そこで、健康常識をアップデート。胃腸とアンチエイジングの第1人者、栃木市の江田クリニック院長・江田証先生に、最新の知見を解説してもらった。
【幸福感は伝染する】
一流科学誌『BMJ』に掲載された論文によると、多くの幸福な人に囲まれた人は将来、幸福になる可能性が高いことがわかってきた。1マイル(約1.6km)以内に住んでいる友人が幸せな場合、その人が幸せを感じる可能性は25%増加するともいわれている。
幸福感と関係しやすいのが「感謝を持つ心の姿勢」「楽観的であること」「睡眠の質」「セックスの頻度」だが、さらに寝る前に、その日あった3つのいいことに感謝すると幸福感が高まることが確認されている。
【肥満は感染する】
いっぽう、最近の研究データから、肥満も感染することがわかってきた。スリムなマウスと太ったマウスを同じゲージで一緒に飼うと、太ったマウスの腸内細菌がスリムなマウスの腸に感染し、著しく太るのだ。この結果から、太った家系の人は、家族から太る腸内細菌をうつされている可能性のあることが判明。
太ったマウスの腸には「ファーミキューテス属」の腸内細菌が多く、これは食べたものを過剰に消化しすぎるため、食べ物から栄養を吸収しすぎてしまうことがわかってきた。
それに対し、やせたマウスの腸には「バクテロイデス属」の菌が多く、過剰に栄養を吸収しないので、やせやすい体質になるという。
また、肥満は友人関係や夫婦間とも関連していて、太った友人を持つ人が太る可能性は、そうでない人よりも57%高く、結婚相手などのパートナーが太っていると自分も太る可能性が37%高い、といった衝撃的な結果が出ている。