「赤ちゃんの口の中には虫歯菌がいません。虫歯菌は、大人と食べ物を分け合ったり、同じ食器を使ったりなどして、大人の口から唾液感染するのです。2歳半から3歳までに大人から移されなければ、その後の人生で虫歯になる可能性はかなり下がります」
そう話すのは、東京にある岡山歯科医院院長で医学博士の岡山正明先生。岡山先生によると、2歳半から3歳までに気をつければ、その後に虫歯になる可能性は低くなるという。そもそも虫歯はなぜできるのか?
「虫歯は、虫歯ができる3つの条件『歯があること』『虫歯菌があること』『糖質(砂糖など)があること』が重なった状態で、時間がたつと発生します。虫歯菌であるミュータンス菌は、砂糖などの糖質があるところ以外では生きられません」
そのため、砂糖の供給が極端に減った戦時中は、虫歯の数も減ったという。
「砂糖などで生き延びた虫歯菌がプラーク(細菌の集まり)となり、歯の表面に付着します。そこで糖質を養分に酸を発生させ、歯の成分であるカルシウムやリンを溶かします。この状態が脱灰(虫歯)です」
ただし糖分を摂取(食事)してから約3〜40分すると、唾液の働きで虫歯菌に溶かされた歯の表面が元に戻る「歯の再石灰化」が自然に起こり、虫歯を食い止めてくれる。
「再石灰化を起こすためには口の中に糖分がない状態が必要。砂糖入りの飲み物や飴などを常に摂取している人は、再石灰化が起こらないため、虫歯になりやすいのです」
近年は、虫歯菌を根本的に除去する動きもみられるそう。
「赤ちゃんだけでなく、すでに虫歯菌がいる大人に向けても、虫歯菌、歯周病菌を駆除する除菌療法があります。自費診療で高価ですが、虫歯や歯周病の予防に効果があるといわれています」