「うつ病は、頑張りすぎて力が抜けない、真面目な人がかかることが多いんです。女性でも、嫁姑の関係や定年後の夫の世話に気を張りすぎて、うつになる人が増えています。とくに、50代ごろに迎える更年期障害で体や心のバランスが崩れたことをきっかけに、うつになってしまう人は多いですね」

 

そう話すのは、国立精神・神経医療研究センターの功刀浩先生。最近、50代女性のうつ病が増えているという。では、うつを予防し、健康な心を保つためにはどうすればいいのか。功刀先生は、頑張りすぎないことに加えて、栄養の大切さを強調する。

 

「うつ病と食生活習慣には密接な関係があります。食事をしっかり取ることは健康の基本。データでも、うつ病の人は栄養不足の人が多いことがわかっています。逆に言えば、きちんと栄養を取ることを心がければ、うつ病のリスクをかなり下げることができるでしょう」

 

これからの季節、秋から冬にかけては抑うつ状態になる女性も多く、「季節性感情障害」「冬季うつ病」という病名もあるほど。そこで、功刀先生の研究に基づいた「更年期うつ」を予防する食習慣10を紹介。きちんと食べて“うつのもと”を摘み取ろう。

 

朝食にヨーグルト&ナッツを】

「インドをはじめ、いろいろな国の研究で、朝食を食べる人はうつ症状が少ないことが明らかになっています」

なかでもおすすめは、腸内を活性化させるヨーグルトや、ビタミン、ミネラルなどの栄養価の高いナッツ。

 

【2.野菜は1食で3種類以上】

「野菜は生でも煮ても焼いてもOKです。いろいろな調理法で食べるほうがいいでしょう。無理せず『一食に3種類の野菜』を心がければ、さまざまな栄養を取ることができると思います」

野菜に含まれる食物繊維やビタミンは、健康な心身を保つのに欠かせないもの。だが、同じ野菜ばかりでは各種ビタミンをまんべんなく取ることができない。

 

【3.週2回は玄米ごはん】

「全般的に、精製された食物は精製されていない食物よりも栄養素が減っています。お米の場合も同じで、白米より、玄米のほうが栄養素の面で優れているのです」

100グラムあたり精白米には葉酸が12マイクログラムなのに対し、玄米には27マイクログラム。食物繊維に至っては、玄米は0.7グラムだが、精白米にはほとんど含まれていない。

 

【4.味噌汁はワカメ入りで】

「亜鉛は脳内で神経伝達物質を貯蔵しているシナプス小胞に含まれており、これが欠乏するとうつ病を生じやすくなります。また、うつ病患者は健康な人と比べて血中葉酸値が低い傾向が明らかになっています」

うつ病患者には栄養不足の人が多いことは、さまざまな研究で実証されているが、なかでも亜鉛と葉酸が不足するとうつを引き寄せやすい。海藻類は亜鉛と葉酸を多く含んでいる。

 

【5.緑茶か赤ワインを1日1杯】

「欧米諸国で行われた研究では、野菜、果物、豆類、シーフード、オリーブ油、穀類、赤ワインといった食事スタイルのほうが、うつ病発症率が低いことがわかっています。赤ワインに含まれるポリフェノールは脳によい効果があるので、1日グラス1〜2杯程度ならうつ予防になるでしょう」

また、緑茶に含まれるテアニンやポリフェノールは、抗うつ効果があるといわれている

 

【6.ネバネバ食材を定期的に】

「ネバネバした食材は消化に時間がかかるため、ゆっくりと吸収されて血糖値が低めに抑えられるという徳島大学の研究結果があります。血糖値もうつ病と関係があるんです」

納豆やオクラなど、ネバネバしたものが、うつ予防にいいという。

 

【7.食事は意識してゆっくり】

「家族で食卓を囲んで、会話をしながら時間をかけて食べましょう。誰かと一緒に食べることは、生活の連帯感にもつながり、おなかだけでなく気持ちも満たされます」

脳の満腹中枢が感知するまでには、ある程度時間がかかるので“早食い”は食べすぎのもと。よくかんで20分以上が目安だ。

 

【8.霜降り肉より赤身肉を】

「牛肉などに含まれる亜鉛は、うつ病予防に効果がある。私の調査データでは、4人に1人は、亜鉛が基準以下となっています」

高価な“霜降り肉”は必要ない。脂分には飽和脂肪酸が含まれるので、むしろ赤身の肉のほうがいいという。

 

【9.夜中はホットミルクだけ】

「肥満に直結する悪い習慣は、夜中にものを食べること。どうしてもおなかがすいて眠れないのであれば、ホットミルクやホットカルピスを」

功刀先生によると、肥満はうつ病の危険因子のひとつだという。

 

【10.甘いものならチョコレートを】

「カカオマスにはポリフェノールやカフェインが含まれていて“元気が出る効果”があります。ただ、夜に眠れなくなると困るので夕方以降は避けたい。1日板チョコ1枚程度にとどめておくとよいでしょう」

お菓子や甘いものは肥満の原因になり、うつリスクを上げるので取りすぎには注意。どうしても甘いものが食べたくなったらチョコレートを。