「怒りは交感神経を過剰に働かせてしまいますが、こうして自律神経が乱れると、免疫力をつかさどる血液中の白血球の働きも、暴走してしまいます。白血球が暴走すると、細菌やウイルスだけでなく、腸内環境を維持している善玉菌も攻撃!すると、かえって免疫力は低下して、風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまうのです」

 

そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者の小林弘幸先生。小林先生によると、白血球が暴走した場合、細胞や遺伝子を傷つける活性酸素も大量に発生してしまうため、体が酸化。シミやシワなど、肌の老化も進むという。さらに深刻な病気を発症されるリスクも増大。

 

「スペインのサンカルロス大学の研究チームは、『タイプA』と呼ばれる、競争心が強くて怒りっぽい性格の人は、そうでない人と比べて脳卒中にかかるリスクが2倍になることを、イギリスのデイリー・メール紙(オンライン版)に発表しています。このリスクの高さは、なんと喫煙者と同じレベル。怒りが交感神経を過剰に働かせ、活性酸素が増えると、血流内では赤血球同士がくっつきやすくなり、血液がドロドロになってしまいます」

 

これが血栓を作りやすくし、血管が詰まる原因になっていると小林先生は見ている。

 

「さらに、ハーバード公衆衛生大学院は、激しい怒りのあとは心筋梗塞や心臓発作などの心臓病を起こす危険性が4.7倍に上がると発表。1日に5回怒っていると、心臓にリスクがない人でも、1万人あたりで年間158回の心臓発作が起こる計算になると報告しています」

 

そんな百害あって一利なしの怒りだが、グッと我慢すれば、一時的に交感神経の働きが上がっても、すぐに元に戻るそう。

 

「とはいえ、腹立たしいことは毎日たくさん起こります(笑)。思わずカチン!と来たときには、同時に心の中で『1、2、3、4……』と10まで数字を数えましょう。怒りに我を忘れそうになったときほど規則正しく数字をカウントアップすることで、クールダウンにつながりますし、リズムよく数えることは、乱れた自律神経の安定にも効果的」

 

今年は「怒らない」ことも目標に、掲げてみてはいかが? 

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