「認知症はいきなり発症するのではなく、長い年月をかけて少しずつ発症に向かいます。65歳で発症するとしたら、25年くらい前の40代からその兆候が表れ始めます。認知症を発症させる小さな兆しを少しでも早く見つけることが、最大の予防法です」
そう語るのは、ひろかわクリニック院長で認知症予防医の広川慶裕先生。認知症はお年寄りの病気と思い込んでいる人は多いが、それは発症年齢。その兆候は40代から表れるという。
厚生労働省発表の認知症患者(2013年)の推計数は462万人。全国で約6千人の高齢者を対象に調査したもので、65歳以上の15%にあたる。同時に認知症予備軍であるMCI(軽度認知障害)患者数も推計約400万人。合計すると862万人になる。
「この計算によると実に、65歳以上の7人に2人が認知症または認知症予備軍ということになりますが、実際にはもっと多くの人があてはまるのではないかと考えます」
では、そんな認知症または認知症予備軍の異変を、家族が見逃さないためにはどうしたらいいのだろう?そこで認知症チェックシートを紹介。1個以上あれば認知症の疑いが!
・物忘れが毎日、または数日おきに続く
・数週間前の大切な出来事(旅行や身近な人の冠婚葬祭など)をきちんと覚えていない
・曜日を正しく答えられないことがある
・近所で道に迷うことがある
・料理が以前のようにできなくなった
・1人で買い物をするのが難しくなった
・薬を管理して服用することができなくなった
・以前からの趣味に興味を示さなくなった
・入浴時介助が必要
・服装や身だしなみに無頓着になった
・怒りっぽくなったり疑い深くなった
健康診断の数値が気になりだすころ、脳も曲がり角を迎える。認知症も早期発見し予防対策をとることが重要だ。