「最近、お肌の調子が悪い。疲れやすいし眠りも浅い。めまいや立ちくらみもあるから貧血かと思って、検査してみても異常は見当たらない、ひょっとして更年期?それとも『うつ』−−。そんなアナタ、もしかしたら“隠れ貧血”かもしれません」
そう語るのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。通常、貧血かどうかを調べるのは、血液中のヘモグロビンの数値。この酸素を運んでくれる色素の濃度が、貧血の判断基準になっている。
ところが“隠れ貧血”の場合、症状が貧血と同じでも、血液検査ではヘモグロビンの数値は正常。そのため、単なる疲労や低血圧、さらには更年期障害などと、見過ごされてしまうことが少なくないという。
「女性の3割が貧血だといわれていますが、実は“隠れ貧血”は6割にのぼるとも。そんな気がかりな“隠れ貧血”は、肝臓や脾臓に多く存在するフェリチンというタンパク質の鉄不足によって引き起こされます」
フェリチンとは、わかりやすくたとえるなら「鉄の貯蔵庫」。体内に取り入れられた鉄分の多くはヘモグロビンをつくるための材料になるが、それ以外はフェリチンにたまっていく。そこでためられた鉄は、細胞を増やすなど大事な役割を果たしている。
「ここで鉄分が不足すると、肌が、新しい細胞に入れ替わらずに荒れてしまったり、疲れやすくなったりするのです。また“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンをつくるときも鉄分は大きな役割を果たします。セロトニンは眠りに深く関係するメラトニンを合成しますから、眠りの質も悪化させます」
では、どうすれば“隠れ貧血”を防げるのか。
「実は、とても簡単で、食事で鉄分を十分に取ることなのです。ここで気を付けたいのは、動物性食品の鉄分は体内に取り込みやすいのですが、植物性の食品は、思いのほか吸収が悪いということ。そこで鉄分の吸収を手助けしてくれるのがビタミンCなのです。小松菜やほうれん草のおひたしにレモンを搾ったり、食後にいちごやキウイなどビタミンCが豊富な果物を食べたりするのも効果的です」
女性にとって、鉄は不足しがちな栄養素。効果的に取って、元気な体と美しいお肌をつくろう!