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「動脈硬化を防いだり、悪玉コレステロールの酸化を防止したりと、赤ワインを適度にたしなむことが健康にいいことは、ご存じでしょう。そんな赤ワインの最新の研究発表をご紹介します。まずは、プラハで行われた欧州肥満学会で報告されたもの。糖尿病(2型)の患者さんが、夕食時にグラス1杯の赤ワインを飲むことで糖代謝が改善したというのです」

 

そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生。224人に対して2年間行われたこの調査では、夕食時に「赤ワイン」「白ワイン」「水」各150ミリリットルのいずれかを摂取。その結果、ワインを飲み続けたグループが「水」のグループに比べて糖代謝が改善。とくに赤ワインの効果が高かったという。

 

「さらに、米オレゴン州立大学などの研究グループがネズミに10週間にわたって脂肪分の多い食事を与え、そのうち半分には赤ワインを与えた実験が。赤ワインを与えたマウスでは脂肪肝が減り、血糖値が下がったという結果も話題になりました。これは赤ブドウに含まれる『エラグ酸』が、肝臓内での脂肪細胞の成長を抑えているようです」

 

赤ワインの健康効果には、「アントシアニン」「タンニン」などブドウ由来の栄養成分「ポリフェノール」が大きく貢献している。これらが、がんを予防したり、血管の炎症を抑えたりすることは、すでに実証されている。

 

「最後にご紹介する研究は、その『ポリフェノール』の一種『レスベラトロール』についてのものです。米ジョージタウン大学の研究チームがアルツハイマー病の患者さん119人に高濃度の『レスベラトロール』を投与したところ、アルツハイマー病の原因と考えられている、『アミロイドβ』の脳への蓄積が減少したというのです。研究チームは、認知力の向上も見られたと言いますが、まだまだ検証を重ねる必要がありそうです」

 

とはいえ、特効薬のない認知症の予防に、期待を膨らませる報告とも言えるだろう。

 

「赤ワインは、味以外にも色や香りなど五感を使って楽しめます。ワインが空気に触れることで、味が豊かになるなど、ゆったりした気分で楽しむことができます。私もほかのお酒に比べて、自然とゆっくり飲むことが多いのですが、そうすることで副交感神経の働きをアップさせる効果もあるのです」

 

もちろん「百薬の長」は、ほどほどの量でのこと。飲みすぎにはご注意を!

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