「腸の中には善玉菌と悪玉菌が存在しています。悪玉菌はアンモニアや硫化水素などの有害物質を生みだしますが、善玉菌の助けにより、それが血液に入り込まないようにガードする機能が、腸にはあるのです。しかし自律神経のバランスが崩れると善玉菌が減り、そのガード機能が壊れ、有害物質が血液に入り込んでしまう。そのような状態では、ちょっとした脱水症状が、熱中症のきっかけを作ってしまいます。だから善玉菌が増えやすい腸内環境を日ごろから作っておくことが大切です」
そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生。史上最悪の暑さ−−。そんな“危険な予報”も飛び交う夏本番を控え、熱中症で救急搬送される人が激増している。7月4〜10日の1週間だけでも、全国で4,659人が病院に運ばれたが、これは昨年同時期の約3.5倍。そして8人が命を落としている……。
暑さが本番を迎える前に、健康的な腸にして腸内環境を整えること=「腸活」が熱中症に負けない体を作るという。そこで、小林先生が熱中症を防ぐ「腸活ライフ」5カ条を教えてくれた。
海藻類や大麦など水溶性食物繊維を取ろう
「腸活に不可欠なのは食物繊維です。食物繊維には不溶性と水溶性の2種類がありますが、後者の水に溶ける食物繊維を取ることが効果的。とくに、モズクやワカメなどの海藻類や大麦は、善玉菌のエサになって腸内環境を整えてくれます。1日20グラムは取りたいですね」
納豆や漬け物などの発酵食品を食べよう
「ヨーグルトや納豆、漬け物などの発酵食品は善玉菌の強力なサポーター。毎日の食事にプラスするだけで、腸の働きを高めてくれます」
朝起きたらコップ1杯の水を飲もう
「腸があまり動いていない朝に水を飲むことで、腸が目覚め、ぜん動運動が促されます。一気に水を飲むのがコツで、そのぶん胃に水の重さが加わり、大腸の上部を刺激してくれます。腸を動かすことは、自律神経のバランスを整えることにもつながります。さらに夏場は、早めの時間に夕食を済ませ、腸をゆっくり休ませることも必要です」
早朝に30分のウオーキングを
「ウオーキングや階段の上り下りといった運動を日常に取り入れることは、腸活にも効果的です。しかし、気温の高い日中の運動は危険。早朝など涼しい時間にするといいでしょう」
寝る前にぬるま湯で15分の半身浴を
「寝る前にぬるま湯で15分ほど半身浴をすると、血流がよくなり、緊張もほぐれます。寝不足も腸内環境を悪化させます。しっかり睡眠をとることは、熱中症対策にもつながるのです」
すでに“酷暑”の兆しが表れている今年の夏。元気に楽しく乗り切るためにも、今日から「腸活ライフ」を始めて、しっかり熱中症対策を!