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「健康診断の『B判定』を見て、“まだ大丈夫”と思っていませんか?一般的にB判定は、『経過観察』といわれています。しかし、『経過観察』といっても、単に“とりあえず放っといて様子を見ること”とはまったく違います」

 

そう語るのは、20年にわたり20万人以上の人間ドックや健康診断を行ってきた、内科医の奥田昌子先生だ。

 

「健康診断の『B判定』は、多くの項目が重なれば、脳梗塞や心筋梗塞など、重病の危険が高まります。中には、『C判定』より危険な『B判定』もあります。『B判定』の陰で、ひそかに病いは進行しているのです」

 

経験の中で、「B判定こそが、病気になるかならないかの境界線だ」と気づいたという奥田先生。今年7月、『健康診断 その「B判定」は見逃すと怖い』(青春出版社)を出版した。

 

決して油断してはいけないというB判定……。特に危ないのが、C判定だった項目がB判定になった場合だという。

 

「これがいちばん油断しやすいパターンです。もちろん生活習慣を改善した結果、C判定からB判定にならいいでしょう。問題なのは、病気が悪化しているのに、検査結果が“よくなった”ように見えるときです。基本的に、放っておいたら自然治癒してB判定になった、ということはありえません」

 

そんな、C判定からB判定になっても“実は悪化”しているかもしれない、最も油断しやすいパターンを奥田先生が紹介。

 

■肝機能「AST(GOT)と、ALT(GTP)」の数値が改善

 

【考えられる異常】肝臓の細胞が壊れると、肝機能で検査する酵素の数値が上がるが、病が進行するとそれ以上に壊れる細胞もなくなり酵素も底をつくため数値が下がり始める。

【潜むリスク】肝硬変。肝臓が破壊されると逆に数値がよくなる。

 

■肝機能「γ-GTP(胆管でつくられる酵素)」の数値が改善

 

【考えられる異常】C判定を受けた当時のダメージが残っている。

【潜むリスク】肝臓がん、胆のうがんができ始めていることも。

 

■脂質「LDL(悪玉コレステロール)」の数値が改善

 

【考えられる異常】甲状腺ホルモンの異常。

【潜むリスク】甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のおそれあり。

 

■膵機能「アミラーゼ」の数値が改善

 

【考えられる異常】1.数値が臓器の障害の程度と一致していない。2.膵炎が慢性化し膵臓の機能低下がおきると、細胞がアミラーゼをつくれなくなり数値が低下する。

【潜むリスク】1.膵臓がんでも数値に変化がでないことも。2.膵臓の病気。膵臓が破壊されると、逆に数値がよくなる。正確な診断には画像診断が必要。

 

■尿検査

 

【考えられる異常】異常を一度きりの健診で必ずしも検出できるとは限らない。

【潜むリスク】水分を多く摂取すると、尿が薄まってA判定になることも。一度でもB判定だったら、近くの医院で再検査を。

 

■尿潜血もしくは便潜血

 

【考えられる異常】異常を一度きりの健診で必ずしも検出できるとは限らない。

【潜むリスク】膀胱、腎臓の病気、大腸がん。病気があっても、常にそこから出血するとは限らない。

 

「B判定があったら近くの内科医やクリニックに結果を持参して、医療従事者から説明を受けてください。1年後ではなく、3カ月後、半年後に検査を受けて経過を確認していきましょう。健康診断の結果は、年ごとの変化をきちんと見ることと、項目を関連づけてみることがとても重要なのです」(奥田先生)

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