“病いは気から”なんていうくらいだから“気にしすぎ”はいけないのかも……。でも、すべてを“気のせい”にしてしまうのは、かなり危険。今の季節の場合、“寒さのせい”と思い込んでいる症状に病気のサインが潜んでいることもあるという。
「皆さんが見逃しな“病気のサイン”があります」と話すのは、テレビの健康番組でもおなじみの池谷敏郎医学博士。そこで、先日発売になったばかりの著書『いまさら聞けない健康の常識・非常識』(主婦の友社)を基に、池谷先生が見逃してはいけない病気のサインを教えてくれた。
【ふわ〜っとめまいが……】脳卒中のサインかも
「目がぐるぐる回り、吐きそうになる“めまい”は小脳の脳卒中で起きますが、疲労などが原因となって生じる、耳の三半規管のトラブルであることも多い。でも、『なんとなくふわ〜っとする』『フラフラと片方に寄っていってしまう』ような“めまい”は、脳の病気のサインかもしれません。『疲れのせい』『寝れば治る』なんて言っていると、発見も治療も手遅れになってしまうので、ぜひ検診を受けてください」
【左の腕、首、顎が痛い】心筋梗塞など心臓のトラブルかも
「心筋梗塞は動脈硬化で血管が詰まって起こる病気。心臓のトラブルは、左胸だけではなく、左の腕や首、顎など、心臓以外の場所の痛み、いわゆる『関連痛』として現れることがあります」
【階段を上ると息切れする】心不全や狭心症、心筋梗塞のサインかも
「階段の上り下りで息切れするのは『年のせい』だと思っていませんか?それは貧血や気管ぜんそくのことが多いのですが、心臓の一部が動かなくなる心不全や、狭心症、心筋梗塞のサインかもしれません。心臓の痛みがないからと軽く考えていると、悪化して死に至ることも……」
【いつも頭痛に悩まされている】ストレートネックによる緊張性頭痛かも
「“更年期世代”に入った女性は、血管が老化することから、血管の収縮と拡張による片頭痛は起こりにくくなります。代わりに原因として考えられるのは、頸椎の角度が直線状になる『ストレートネック』。パソコンやスマホを長時間、操作することにより、慢性的にうつむいた姿勢を取るため、首の生理的なカーブが失われ、頸椎に負担がかかる、いわば現代病です。症状としては頭痛以外に、首の痛みやこり、肩のこりがありますが、腕のしびれやだるさがみられることも。うつ病の原因となることもあるので、『今日、まだ一度も空を見ていない』という人は要注意!すぐに胸を開いて、空を見上げてみましょう」
【貧血ぎみでふらふらする】子宮筋腫や胃がん、大腸がんの可能性も
「貧血を侮るのは危険。背後にさまざまな病気が隠れています。なかでも鉄分不足で起こる『鉄欠乏性貧血』は女性に多く、子宮筋腫や胃がん、大腸がんのサインである可能性も。内臓から出血している場合、貧血を起こしやすくなるのです。息切れや立ちくらみがする場合は、早めの健康診断を勧めます」
これらのサインを「ぜひ“病識”として知ってほしい」と強く訴える池谷先生。特に、女性の“更年期世代”は、自分を客観的に見つめ直す大切な時期。
「血管年齢は、男性のほうが10年早く年を取るといわれますが、閉経した途端、女性は追いつき、さらには追い越してしまいます。女性の体が一気に変わる大切なこの時期に、ぜひ食事や運動、睡眠などの生活習慣を振り返り、見つめ直してください」