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「高血圧は、心臓や脳、血管に関わる病気になる可能性を示唆しています。高血圧だからといってむやみに降圧剤で血圧を下げると、自身の体の変化がわからなくなり、逆に危険なのです。もちろん、降圧剤が必要な患者さんもいますが、現在、高血圧による体の不調を感じていない方は飲まなくていい場合がほとんど。しかも降圧剤を飲み続けると、逆に、脳梗塞のリスクを高める可能性もあります」

 

こう話すのは、薬剤師で予防医療の専門家である加藤雅俊さん。近年、日本では高血圧患者数が増加し続け、厚生労働省による’16年の調査では1,000万人を超えた。健康診断で高血圧と診断され、医師から降圧剤を処方されるケースも増えている。そんな中、加藤さんは、今年2月に発売された著書『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)で降圧剤に頼る危険性を訴え、注目を集めている。また、加藤さんは減塩も高血圧には意味がないと語る。

 

「日本人の食塩摂取量は、50年前の半分に減少しましたが、高血圧患者は増加し続けています。世界規模で行われた調査『インターソルトスタディ』では、食塩摂取量の高い日本では高血圧の有病率が約10%だったのに対し、塩分摂取量の低い欧米で20〜30%という結果がでており、塩分摂取量と高血圧には相関関係がないことがわかっています。もともと人間の体には塩分を取りすぎると水分をたくさん取って、過剰な塩分を排出する仕組みがあります。塩分を取って血圧が上がるのは、一時的なこと。高血圧だからといって減塩食にする必要はありません」

 

現在では誰もが、最高血圧140mmHgで高血圧とされているが、本来は年齢によって異なる、と加藤さん。50歳以上の場合、本当の高血圧の新公式は『年齢+90=最高血圧』。たとえば65歳なら、65+90=155となり、最高血圧が155mmHgまでなら正常血圧ということになる(50歳以上の場合)。もし、年齢プラス90をオーバーしている場合、加藤さんがおススメする方法の1つが「降圧ツボ」だ。

 

「ツボはいわば神経が集中する交差点で、脳への伝達が“交通渋滞”を起こしがちです。本来、私たちの体には、血圧を調整する仕組みが備わっていますが、脳に情報が届かないと、その機能は働きません。ツボを押すことで情報がすぐに脳に伝わり、体が血圧を正常に戻そうと働くのです」

 

そこで加藤さんがおススメするのが、3つの「降圧ツボ」。どのツボも、5秒かけて息を吐きながら押し、5秒かけて息を吸いながら、力を抜いて行おう。

 

【人迎(じんけい)】喉仏の左右にあるツボ。血圧を下げる効果が特に高い

 

喉仏から指2本分離れたところで、指を押し込んだとき脈打っているのが「人迎」のツボ。人さし指に中指を添え、首の中心に向かって人さし指でゆっくりと押す。左右5回ずつ。

 

「起床時に血圧が高い人、イライラしたり緊張したりして血圧が上がりがちな人は、ぜひこのツボを押してください」(加藤さん)

 

【合谷(ごうこく)】痛みや怒りを抑えるホルモンが分泌されるツボ

 

親指と人さし指の骨が接する付け根近く、人さし指の骨の少しくぼんだ部分がツボ。親指を当て、骨の裏側をぐっと押し上げるようにゆっくりと押す。左右5回ずつ。

 

【内関(ないかん)】精神的な緊張に効くツボ。副交感神経を優位にして血圧を下げる

 

手首のシワから指3本分手前側、腕の真ん中にあるツボ。親指の腹を当て、垂直にゆっくりと押す。これを5回繰り返す。

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