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春キャベツは一年中店頭に並ぶ冬キャベツより、軟らかくて甘い。さらに、カロテンが3倍、ビタミンCが1.3倍も含有されるなどのステキな特徴があるが、基本的な成分はどの季節のキャベツも同じ。そしてキャベツには、大注目の成分があるという。

 

「キャベツは、各種栄養成分の含有量が比較的少ない淡色野菜のなかでは、例外的にビタミンCなどを多く含む、とても健康にいい野菜です。ビタミンK、β−カロテン、クロロフィル、カリウムなどのミネラル類、食物繊維も豊富ですし、『自然の潰瘍薬』といわれるビタミンUも豊富に含まれていて、胃腸の調子を整えてくれるんですよ」

 

そう教えてくれたのは、愛知学院大学心身科学部教授で農学博士の大澤俊彦さん。大澤さん自身も参加しているアメリカの研究で、キャベツにはがん予防効果があることが明らかになっている。

 

「『デザイナーフーズピラミッド』の上位にランキングされたことをきっかけに、キャベツは世界的に注目を集めるようになりました。’90年、アメリカでスタートした『デザイナーフーズ計画』(植物性食品成分によるがん予防)では、膨大な疫学研究のデータを背景に食物のがん予防効果を研究。『フィトケミカル』(非栄養素成分)に、がんをはじめとする疾病を予防する機能が多くあることが明らかになりました。がん予防効果の高い食物を『デザイナーフーズ』とし、効果の高い順に表したのが『デザイナーフーズピラミッド』なのです」

 

植物の色素や渋味、香りなどの元である「フィトケミカル」は、高温や紫外線などによって引き起こされる酸化障害から植物自身を保護している。人体では作れないフィトケミカルを積極的に摂取することで、がんをはじめ生活習慣病などの疾病の予防が期待できることが、研究で明らかになってきているのだ。

 

「フィトケミカルの成分には、ポリフェノール類やアルカロイド、カロテノイドなどがあります。中でもキャベツが多く含有し、最も注目される成分が、辛み成分の『イソチオシアネート』なんです」

 

キャベツに含まれるイソチオシアネートも食道がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、前胃がんなどを抑制することが明らかになっているという。ほかにも、キャベツに豊富に含まれるビタミンCには美肌効果、風邪や感染症を予防。また、多量の食物繊維は便通を促し、腸内を善玉菌で整えてくれ、この作用もがん予防効果、生活習慣病予防効果につながっている。

 

「ほかにも利尿、むくみ予防、血圧降下作用のあるカリウム、強力な抗酸化作用が知られているカロテン類も多いですね。春キャベツには3倍も含まれるといわれ、アンチエイジング効果も期待できます。さらにクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸が老廃物の排泄もスムーズにしてくれ、デトックス効果もあります」

 

淡色野菜にもかかわらず、栄養価が驚くほど高い春キャベツ。旬を逃がさず、もりもり食べてがんを遠ざけよう!

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