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春夏秋冬それぞれが魅力的な四季を持つ日本人は、とりわけ季節の変化に対する関心が高いといわれている。ところが、その美しい四季の移ろいに恐ろしい「罠」が潜んでいることはあまり知られていないーー。その罠の名はずばり“ブラックタイム”。1年のうちには、特定の病気や体調不良を引き起こしやすい時期があるというのだ。「冬場になると亡くなるお年寄りが多い」などと聞けばピンとくる人も多いだろう。

 

「急激な寒暖差によって体に悪影響が及ぼされることをヒートショックといいます。とくに冬場は高齢者が浴室で倒れるケースがとても多く、入浴中の死亡事故は1月がピークを迎えます。これは交通事故死の件数よりも多いのです。湯船のお湯は熱いのに、浴室内や脱衣所が寒い、といったことが原因です」

 

こう語るのは、石黒クリニック(岐阜県)の石黒源之院長。12〜2月は、事故だけでなく、さまざまなトラブルの発生がピークとなっている。

 

「がん、脳血管障害、心疾患、肺炎について、それぞれの病気での死亡者数を月ごとに分析すると、がんによる死亡数は11〜1月にかけての寒い時期に多くなります。心疾患は12〜1月、肺炎や脳出血は1〜2月がピークです。このように、冬場は全体的に病気にかかりやすく、しかも重篤化する傾向があります。原因は体温低下により免疫力が衰えること。免疫力が低下すると、風邪をこじらせやすくなり、いったん病気にかかると回復しづらくなるのです」(石黒院長・以下同)

 

とくに筋肉量の少ない女性や高齢者、そして子どもは免疫力の低下に注意が必要。筋肉量が少ないことで体温(平熱)も低くなり、それにともない免疫力も下がってしまうからだ。

 

さらに年明けごろからピークを迎えるノロウイルスやインフルエンザも、冬の代表的な病気だ。高温多湿な夏場は、「ブドウ球菌」や「O−157」のような食中毒の病原菌が繁殖しやすくなるが、気温が低く空気が乾燥している冬場は「インフルエンザウイルス」や「ノロウイルス」が繁殖しやすくなる。これらのウイルスは家族が学校や職場から家に持ち帰ることも多いので、こまめな手洗い、うがいなどの対策も重要だ。

 

ちなみにインフルエンザのワクチン接種は午前中のほうが有効というデータもある。

 

「人の体も乾燥状態が続くと、鼻やのどの粘膜が傷つきやすくなります。冬場の乾燥は体の抵抗力も弱めてしまいますが、免疫力を上げるためにはやはり筋肉量がポイント。日常生活に適度な運動を取り入れることが大事ですね」

 

ふだんから風邪をひきやすいという人は、今から体を鍛えておこう!

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