北海道足寄町の112歳・野中正造さんが「“男性世界最高齢”としてギネス記録に認定される見通し」と報じられたばかりだが、国内最年長である117歳のおばあちゃん、田島ナビさんがこのほど、ギネス記録の “女性世界最高齢”に認定される見通しとなった。これまで認定されていたジャマイカの女性が9月15日に死去したことによるものだ。
ナビさんは、1900年(明治33年)8月、鹿児島県奄美群島の喜界島で誕生した。2歳年上のご主人と結婚後は、農業に従事し、さとうきびやごまを栽培。7男2女を育てあげ、子、孫、ひ孫、玄孫、来孫と子孫が160人にものぼる。ナビさんが好んで飲んでいた奄美の発酵飲料が“ミキ”だ。
「ミキは古くから奄美に伝わるソウルフードで、島の人なら誰でも知っています。米とさつまいもと砂糖でつくられる、高温多湿の気候風土で生まれた、奄美、沖縄の伝統発酵食なんです」
そう教えてくれたのは、奄美大島在住の島料理研究家で、『心を伝える 奄美の伝統料理』(南方新社)の著者でもある泉和子さん。ミキは栄養価も高く乳酸菌も豊富だという。
「体力を消耗したときの滋養強壮などに効き、消化もいいので栄養がエネルギーに変わりやすい。病気になったとき、お粥の代わりに飲んだりして、島の暮らしには欠かすことができません」(泉さん・以下同)
昔は、それぞれの家庭でミキを手づくりしていたそう。
「うちでも母がよく一升瓶につくっていました。米と芋だけでつくり、その自然な甘味だけでしたので、子どものころは発酵した酸っぱさが苦手で……。でも最近は、甘くおいしく飲みやすくなったミキが、地元のスーパーで販売されています。ただ、最近テレビで『1ccに1億個以上の乳酸菌』と紹介され、注文が殺到して、品切れのところもあるそうです」
なんとかして奄美のミキを手に入れ、飲んでみたい! 「では、自分でつくりましょう。簡単ですよ」と、泉さんが家庭でもつくれるレシピを教えてくれた。
【材料】500mlのペットボトル約2本分
うるち米…1.5合(約225g)
水…250ml
A(水…250ml、さつまいも…50g)
B(水…500ml、白砂糖…100g)
【作り方】
(1)うるち米1.5合をボウルに入れ、浸るくらいの水に1晩つける。
(2)うるち米をざるにあげて水を切り、水250mlを加えてミキサーに2分ぐらいかける。
(3)Aをドロッとするまでミキサーにかけ、さらしで絞っておく。
(4)鍋でBを煮溶かし、沸騰したら弱火にして2のうるち米を加える。
(5)焦がさないように気を付けながら木べらで混ぜ続け、透明のお粥状になったら火をとめる。
(6)人肌の温度に冷ます。
(7)冷ました6に3の絞り汁を加えて、しばらく混ぜ続ける。
(8)ペットボトルに入れ、紙でふたをして、夏は1日、冬は2日ぐらい常温で発酵させる。
(9)ペットボトルにしっかりふたをして振り混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
「米をふやかす水は、米が浸るぐらいで大丈夫です。さつまいもは、昔はおろし金を使って、おろしていました。ペットボトルに入れて常温で発酵させた後は、冷蔵庫で保存。1週間ほど持ちますが、発酵が進むと、だんだん酸っぱくなってきます」
好みでアレンジすると、さらに飲みやすくなるという。
「私はヨーグルトにかけたり、フルーツジャムを入れたりしています。『カルピス』で割って飲むのもおすすめです。また、西京焼きのみその代わりに、ミキに肉や魚を漬け込んでから焼く『ミキ焼き』は、身が軟らかくなって、かなりおいしいですよ。ミキは発酵して生きているので、好みの味に工夫する楽しみもあるのです」