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「15年前、私はリハビリ専門学校を出て、理学療法士として老人指定病院で働き始めました。ところが教科書どおりの施術をしても、なかなか患者さんの腰痛やひざ痛はよくならない。そんなとき、知り合いから『面白いグッズがある』と、はいたとたんに足指がのび、踏ん張る力が出るという靴下をもらったんです。それを妻にはかせたところ、わずか1週間でO脚が真っすぐになり、持病のひざ痛も消えた。本当に驚きでした」

 

そう語るのは、福岡市にある歩行困難者専門のリハビリ施設「湯浅家」の院長・湯浅慶朗先生(理学療法士)。腰痛やひざ痛の原因は足指の変形にあるーー。湯浅先生がそう気づいたのは、妻のO脚がきっかけだった。そこであらためて、患者の足指を観察すると、ほぼ全員に変形があることに気づいたという。

 

はだしになって、自分の足指をじっくりと観察してほしい。日本人の多くは指足に何らかの変形を起こしているそう。足指の変形症状を湯浅先生が教えてくれた。

 

【外反母趾、内反小趾】親指または小指が内側に曲がっている状態

 

「外反母趾はヒールをはく女性に多い症状ですが、最近は男性にも急増しています。小指が親指側に曲がる内反小趾も同様ですが、靴の選び方やはき方が悪いと起こります」(湯浅先生・以下同)

 

【浮き指】指が地面についていない状態

 

「女性の7割にこの症状があるといわれ、原因のほとんどは深爪です。爪には肉を保護するだけでなく、指を上から押さえる大事な働きがある。深爪はNGですよ」

 

【屈み指】指を無意識に折り曲げている状態

 

「人さし指から薬指にかけて起こりやすく、指の裏の筋肉が常に萎縮しています。合わない靴の中で足がすべり、無意識に踏ん張る癖がついて起こることが多い症状です」

 

【寝指】指がねじれて、爪が横を向いている状態

 

「小指や薬指によく見かけますが、親指が変形している人もいます。爪が小さかったり、生え方がおかしい場所も寝指の可能性が高い。これも合わない靴や、靴のはき方が悪いと起こります」

 

このような足指の変形が、なぜひざや腰の痛み、またO脚などの原因になるのか?

 

「足指が変形して足元が不安定になると、全身の筋肉が余分な力を使ってバランスをとろうとします。その不自然な力が体にゆがみを生じさせ、ひざや腰、股関節などの痛みの原因となるのです。足指が真っすぐにのびるようになると、足指自体の動きがスムーズになり、自然と体も安定。ウソのように全身の筋肉のバランスがよくなって、しっかり立つことができます」

 

確かに、逆立ちをするときは、手の指すべてを使って全身を支えなくてはならず、小指が1本浮いていても倒れてしまう。本来、人が両足で立った状態もこれと同じなのだ。

 

「人間は、足指も含め足全体を使って体を支えるのが正しい立ち方。これなら脛骨(すねの骨)、大腿骨が垂直になり、骨盤、背骨、頭蓋骨も自然と一直線になるのです。しかし、足指で踏ん張れないと、かかと(足後方)で全身を支えようとするため、重心が後ろ寄りになります。これとバランスをとるため、脛骨が前に曲がり、ひざが出ます。そのぶん大腿骨が後ろに反る。すると今度は“くの字”になった足とバランスをとろうと背中が曲がり(猫背)、顎が前に出る。これが今の日本人の典型的な姿勢なのです」

 

現在、湯浅先生は地元保育園の協力で、幼児の姿勢と足指の状況を調査しているが、なんと8割以上の子どもが猫背。その子たちの足指には、やはり変形が見つかっているという。