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「市販薬は効き目が弱く、少しくらい間違って飲んでもたいしたことはないとタカをくくっている人もいます。それは大きな間違い。市販薬にも病気を治す『作用』がある半面、食事や飲み物などと体内で反応し、思いもよらない『副作用』を招くことがあります」

 

そう語るのは、東京薬科大学教授を経て、現在、日本くすり教育研究所代表理事を務める加藤哲太先生。そこで、いまの季節、服用することが多い市販の風邪薬を中心に加藤先生に解説してもらった。

 

「これから紹介する症例は必ず起きるというものではありません。ただいつこの副作用が起こるとも限りません。いままで間違った飲み方をしても大丈夫だったのは、運がよかっただけかもしれません。今後の自分の体を守るために知っておくことが大切です」(以下コメントは加藤先生)

 

■風邪薬や解熱鎮痛薬を飲んでのお酒は死に至ることも

 

「風邪薬や解熱鎮痛薬には、脳神経系の過剰な働きを抑え、効果を発揮するものが多いのです。お酒の主成分であるアルコールも脳に対する抑制作用がある。2つを同時に飲むと、脳神経系への抑制作用が重なり、意識レベルの低下を引き起こします」

 

とくに薬の添付文書に「車の運転は避ける」と注意書きされたものは危険度が高い。

 

「ほかには病院で処方される抗アレルギー薬や抗うつ薬、睡眠薬もアルコールとの飲み合わせが危険。もしどうしても服用しながらお酒を飲みたいときは、どのくらい時間をあければよいか、医師・薬剤師に確認しておくとよいでしょう」

 

■水なしでカプセル薬を飲むと胃潰瘍になる!

 

「試しに指先を湿らせてカプセル薬を触ってみてください。ピタッとくっつくでしょう。水なしでカプセル薬を飲むと、それと同じことが食道や胃の中で起こる。粘膜とカプセルのコーティングがくっついてしまい、はがれるときに粘膜を傷つけ、炎症や腫れ、痛みの原因になるんです」

 

ひどいときにはその傷から潰瘍ができ、胃潰瘍になってしまうことが! また食道にカプセルがくっつくと、そこで中身が溶け出し、薬効成分が胃腸まで届かず、効果を発揮できないこともある。

 

「薬を飲むときはコップ1杯の水かぬるま湯が適量。最低でもコップ半分100mlの水で飲むことが大切です」

 

■風邪薬を飲んだ後、全身の皮膚が突然ただれ始める!

 

風邪薬や解熱鎮痛薬など多くの市販薬で重篤な薬疹として知られているのが「スティーブンス・ジョンソン症候群」と呼ばれる症状。

 

「高熱とともに全身の皮膚がやけどのようにただれだし、失明したり、死に至ることもあります。メカニズムは不明。薬を飲んですぐ起こることもあれば、1カ月以上飲み続けてから発症することも。それだけに恐ろしい副作用です」

 

頻度は100万人に数人といわれるが、加藤先生の知人も風邪薬でこの副作用を経験している。決して対岸の火事ではないのだ。

 

「薬を飲んで湿疹や息苦しさなどの症状が出たことがある人は要注意です」

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