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「高血圧は危険と患者を脅かす医師は多いのに、なぜ“血糖値が高い”ことを危険視する医師は少ないのでしょうか。糖尿病の治療をせずに放置すれば、血管が傷つき、失明、腎不全、神経障害などの合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞を起こすこともある。しかも、一度発症すれば、毎食後に注射を打たなければならない。大変ですよ!」

 

そう話すのは、近著に『食事をガマンしないで血糖値を下げる方法』(マガジンハウス)がある薬剤師の加藤雅俊氏。厚生労働省の’16年「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が疑われる成人が初めて1,000万人を超えた。

 

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量や働きの不足で、血中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気。「すぐにのどが渇き、水をたくさん飲んでしまう」「体が疲れやすく、常にだるさを感じる」などの、糖尿病予備軍の症状が出ていても、2人に1人は自分が糖尿病であることに気付いていないといわれる。もし悪化して足が壊死し切断しなければならなくなったら……。

 

そんな事態にならぬよう、加藤氏に「血糖値を下げる方法」を教えてもらった。

 

まず血糖値に関して“自分の数字”を覚えておくことが大切。空腹時血糖値が126以上だと糖尿病予備軍だ。薬局などの施設で検査できる。

 

「血圧も同じですが、薬はあくまで対症療法。薬に頼って自分で血糖値を下げる能力を失ってしまうのが、いちばんの問題です。そこで私が提唱しているのが毎日3分でできる『加藤式・降糖メソッド』。この瞬発力を利用した“高速”無酸素運動で、どんどん、糖が燃えやすい体になりますよ」(加藤氏・以下同)

 

血液中のブドウ糖を体内に取り込み、エネルギーに変えてくれる役割を持つのが「インスリン」。

 

「そして、筋肉細胞の中には糖を取り込むサポートを行う『インスリン受容体』があるんです。筋肉が衰えて筋肉量が減ると、このインスリン受容体も少なくなるため、糖はますます消費しにくくなっていきます。これこそが高血糖の原因。そこで、このインスリン受容体に関係する筋肉を効率的に増やしていきます。筋肉にはアウターマッスルとインナーマッスルがありますが、インスリン受容体の観点では『速く動かすアウターマッスル』を鍛えるのが最適です」

 

アウターマッスルは、たとえば背中やお尻、腕や足といった大きな筋群。マラソン選手のような細い体ではなく、100mの短距離選手のようなマッチョな筋肉にあたる。“1日1万歩”を勧める医師もいるが時間がかかる……。

 

「この“高速”無酸素運動なら、より短時間でできて、効果抜群なんです」

 

加藤氏が考案した運動は、次の3種類の運動を上から順にそれぞれ20秒間続けて、1つの運動が終わるごとに10秒間のインターバルを置くというもの。これを3分間で2度繰り返す。

 

■エア縄跳び(20秒)

 

(1)縄跳びのロープを持っているイメージで立つ。両足は軽く開いて。

(2)手首を回しながら、弾みをつけて大きくジャンプ。トントンとリズムよくスピーディに20秒間続ける。

 

■ひざキック(20秒)

 

(1)両腕を軽く曲げ、両足を肩幅くらいに開いて立つ。

(2)右に向かって上半身を大きくひねる。同時に右足を太ももから大きく蹴り上げて、左ひじで右ひざに軽くタッチ。次に左に向かって上半身をひねり同様に太もも上げを。スピーディに交互20秒間繰り返す。

 

■エアバスケ(20秒)

 

(1)両足を肩幅くらいに開いて立つ。手にはバスケットボールを持っているイメージで。

(2)深く腰を落とす。ひざを90度以上曲げるのが目安。

(3)間髪を入れず、右側に向かって遠くにシュートするイメージで勢いをつけて上半身を伸ばす。軽くジャンプしてもOK。

(4)スピーディなテンポをキープしながら、なるべく深くひざを曲げるようにして腰を落とす。

(5)間髪を入れず、今度は左側に向かってシュート。テンポを落とさず、1~5を20秒間続ける。

 

さらに上級者向けに加藤氏がこうアドバイスする。

 

■エア縄跳び

 

「大腿四頭筋がメインです。高く跳び上がることが大事。速く、2重跳びのイメージで跳ね上がりましょう」

 

■ひざキック

 

「体幹をひねり、腰は大腰筋、大殿筋、大腿四頭筋、それら大きな筋肉を一気に動かすイメージです」

 

■エアバスケ

 

「足を使うけれど、体側も使う。広背筋、上腕三頭筋、一瞬で腕も足も使いたい。これがブドウ糖の爆発になりますから、そのイメージで」

 

最初は3種2セット「3分」で十分だが、慣れてくれば続けて「6分」を目指そう。多くの患者の血糖値を改善させた「加藤式・降糖メソッド」を、ぜひ試してみよう。

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