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寝たきりや認知症にもなっていないーーそんな“健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”を示す「健康寿命」で、愛知県の女性は、76.32歳で全国1位(厚生労働省調べ・’16年時点)に。全国平均の74.79歳を大きく上回った。

 

生活習慣や食生活、医療サービスの充実などが大きく影響する「平均寿命」では全国32位(’15年分)の愛知県の女性。どのようにして“健康寿命日本一”に上り詰めたのだろうか。

 

名古屋市在住で『真実の名古屋論』(ベスト新書)をつづった評論家の呉智英さんに聞いてみた。呉さんは、’99年に父親の介護のため東京から愛知に転居。’16年には91歳の母を看取っている。

 

「私の母は85歳を過ぎても、庭で農作業をしていましたが、愛知県は、温暖な気候と肥沃な濃尾平野があり農業が盛んで、キャベツやトマトなどは日本有数の産地です。農業は、年齢が高くても継続して働くことが可能。高齢になっても補助的に家族の食事の世話など役割も出てくるのです。また母は、日ごろ、家政婦にお世話になっていましたが、ほかの都市に比べて、名古屋にはとても親身になって働く60歳、70歳の家政婦が多くいます。高齢者が働く環境は、名古屋には多い。何歳になっても現役で仕事ができると、外に出て体を動かし社会とのつながりも。それが健康寿命の延伸に効果があるのでしょう」

 

さらに名古屋には、都会にはない独特な魅力があると、呉さんは語る。

 

「名古屋に住んでわかったのが、都会の割に人の絆が強いこと。他県と違い、大学も就職先もあり、一生、名古屋を離れなくても不便しません。独立しても親と同居したり、近所に住んでいたりするケースが多いのです。生まれた土地に住み続けるから昔なじみの友達もたくさんいます。そんな狭い社会では地域と深くつながり、人がお互いに支え合って生きているのです」

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