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ムシムシ、ジリジリ、湿気と気温の高くなる夏に怖いものといえば、食中毒。お弁当の中身にもとりわけ気を使う季節だが……。

 

「確かに少し前までは、食中毒の発生が多いのは夏場でした。ですが、ノロウイルスが食中毒として認知され始めてから、一年中何らかの食中毒が起きている状態だといえます。ノロウイルスは冬の感染が多いですが、じつは夏でも油断できません」

 

そう語るのは、日本獣医生命科学大学客員教授で、食品衛生コンサルタントとしても活動する池亀公和さん。食中毒の原因として多いのは、食品に潜む微生物による食中毒。細菌はどこにでもいるのが当たり前で、繁殖するすきをいつもうかがっているそう。

 

冷蔵庫に入れておけば細菌は繁殖しないと信じている人も多いが、池亀さんによれば、それだけでは不十分だという。

 

「一般的に食中毒を防止するための冷蔵温度は10度以下とされていますが、多くの細菌は10度以下でも増殖します。夏場は、国際的な基準である4度以下を意識したほうがいいでしょう。そもそも、10度以下という目安は、’52年の指導基準によるもの。当時は氷で冷却する冷蔵庫が主流で、その冷却温度に合わせて10度という基準が採用されたのです」(池亀さん・以下同)

 

では万が一、食中毒に感染し症状が出たら、どのような対策をするのがベストだろうか。

 

「市販の下痢止めは逆効果になることもあります。下痢は体内から悪いものを排除する免疫作用の1つなので、無理に止めるのは逆効果。解毒するには水分が必要ですから、下痢止めよりもスポーツドリンクなどで水分をたっぷり補給しましょう。もちろん、症状がひどければ、すぐに病院で診察を受けてください」

 

食中毒予防のためには、ふだんから免疫力をつけておくような心がけが重要だ。

 

「同じものを食べて食中毒を発症する人と、平気な人がいますが、それは免疫力の差。食中毒で重篤な症状になるのは、免疫力の低い9歳以下か、70歳以上の人です。ただ、それ以外の年齢の人でも、夏場は夏バテや夏風邪などで免疫力が落ちやすい季節ですから、注意しましょう」

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