日本人の4人に1人が高血圧に起因した病気で亡くなっている。そんなやっかいな疾患を改善する画期的な“特効薬”がもうすぐ手に入るようになる――。

 

「このワクチンを使うことで、高血圧の患者だけでなく、脳卒中や心筋梗塞で亡くなる人を減らすことが期待できます」

 

そう語るのは、血圧を下げる「高血圧DNAワクチン」(以下・高血圧ワクチン)の開発者で、大阪大学の森下竜一教授。高血圧は、日本人にもっとも多い疾患で、予備群もふくめると約4,300万人の患者がいる。森下教授がこう続ける。

 

「高血圧の患者のなかで治療をしている人は1,000万人ほど。放置していたり、高血圧に気づいていなかったりする人も少なくありません。とくに、40代以降の女性は要注意。女性ホルモンの『エストロゲン』には、血管のしなやかさを保つ働きがありますが、更年期になると『エストロゲン』の分泌が減少。それまで正常値だった人も血管が硬くなり、高血圧になっている女性も多いのです」

 

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれ、自覚症状のないまま動脈硬化が進行。脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中、心筋梗塞や腎臓病などの病気を引き起こす。実際、日本人の4人に1人が高血圧に起因した病気で亡くなっている。

 

そんな命に関わる生活習慣病・高血圧の新しい治療法として、日本で開発された高血圧ワクチンが注目されている。これの何が画期的なのか。森下教授はこう説明する。

 

「現在の高血圧の治療は、血圧を下げる薬を毎日飲み続けることです。ところが、1年たつと、半分近くの患者が薬を飲むのをやめてしまい、気がついたら症状が悪化していたというケースが多いのです。高血圧ワクチンの場合、1回の注射で、約1年間効果が続くため、薬を毎日飲むわずらわしさを解消してくれるのです」

 

そんな夢のような高血圧ワクチンだが、私たちが使えるのは、いつごろになるのだろうか?

 

「現在、オーストラリアで安全性と有効性を確認する治験が進んでいます。順調にいけば、2023~’24年には実用化できると思っています。オーストラリアでの治験後、数百人規模の治験を日本でも重ねて、薬事承認をめざしていきます」