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延びていくご長寿人生を謳歌するためには“強い足腰”が欠かせない。骨がもろくなる「骨粗しょう症」の予防は、女性ホルモンの分泌量が減少し始める閉経前後から!

 

「骨粗しょう症の患者の約80%が女性です。若いころの過度のダイエットなど生活スタイルの影響もあると思いますが、私の病院に相談に来られる方も増えていて、今日も58歳の方を診察したところ、骨年齢は80歳という結果でした」(矢吹先生)

 

こう語るのは「ゆりクリニック」(東京都港区)の矢吹有里先生(48)。骨は古い細胞を壊す「骨吸収」と新たに骨を作る「骨形成」をバランスよく繰り返すことによって、骨密度を維持している。しかし……。

 

「閉経を機に、骨吸収を抑制している女性ホルモンのエストロゲンが低下すると、10年ほどの期間で急激に骨密度が下がります。骨密度は20歳ごろにピークを迎えて、その後ゆっくりと下がっていくのですが、80%以上が正常で、それが70%未満になると、骨粗しょう症と診断されます」(矢吹先生)

 

矢吹先生は、50歳になったら、すべての女性が骨の状態を調べてほしいと提案する。では、骨密度が低下した場合は、どのような治療を受けるのだろうか。

 

「症状の進行を止める薬物治療がメインとなります。たとえば、骨吸収を抑制するビスホスホネート製剤には、毎日服用するもの、月イチでよいもの、年に1度約15分の点滴で効果があるものなど、いくつか種類があります」(矢吹先生)

 

とはいえ、つえやシルバーカー(高齢者用の押し車)が必要になる生活は少しでも遅らせたいもの。

 

「50歳からでも間に合います。毎日の食事や運動など、これまでの生活スタイルを改善して、骨粗しょう症を予防しましょう」(矢吹先生)

 

そこで、矢吹先生と管理栄養士のコーゲヨーコさんに、具体的な4つの対策を教えてもらった。

 

【対策1】運動

 

「刺激を加えると骨形成が促進されます。手軽なところではウォーキングが効果的。背筋をまっすぐにして、おなかに力を入れてテンポよく歩きましょう」(矢吹先生)

 

“1日8,000歩”など明確な目標を立てたほうが続けられる。

 

「ストレッチにジョギング、ダンス。これらはジムでレッスンを受けてもいいでしょう。ただ水泳は、心肺機能や筋力を高めるにはよいのですが、浮力により骨への刺激が軽減されるため、骨粗しょう症対策には向いていません」(矢吹先生)

 

【対策2】食事

 

「骨といえばカルシウム。牛乳やヨーグルト、プロセスチーズなどの乳製品、ちりめんじゃこや干しエビなどの小魚の乾物が代表的食材です」(コーゲさん)

 

そのほか、納豆や豆腐などの大豆製品、小松菜や、今の時季ならツルムラサキやモロヘイヤなど葉野菜、干しワカメやヒジキといった海藻類にも、多く含まれる。

 

「ところがカルシウムは性質としてなかなか体内に吸収されにくい。乳製品では50%、葉野菜では20%しか取り込めません。そこでカルシウムの吸収を促すビタミンDや、ビタミンKを一緒に摂取することが重要になります」(コーゲさん)

 

ビタミンDは、サンマやサケ、ブリなど魚介類を中心に、干ししいたけにも含まれる。

 

「普通のしいたけでも、食べる前に30分〜1時間、天日干しするとビタミンDの濃度が高まります」(コーゲさん)

 

ビタミンKは、緑黄色野菜や緑茶、納豆、海苔などに多い。

 

「脂溶性ビタミンなので、油を使って調理するとさらに効果的です。複雑に考えるより、1日1食、和食にすることでも、これらの食材を使う機会が増えると思います」(コーゲさん)

 

サプリや健康食品はどうしても足りない栄養素を補うイメージで。

 

【対策3】嗜好品

 

「たばこは骨を作るもとになるビタミンCを破壊します。過度の飲酒もカルシウムを体外に出してしまうので注意してください。またスナック菓子やインスタント食品、清涼飲料水にも含まれる食品添加物の『リン』を多く摂取すると、体内のカルシウムと一緒に体外に排出されてしまうので食べすぎないように」(コーゲさん)

 

【対策4】日光浴

 

「紫外線はシミやシワの原因にもなりますが、体内ではカルシウムの吸収を促すビタミンDを生成します。適度な日光浴は骨を丈夫にするといえるでしょう。猛暑日は避けるとしても、夏場は木陰で10分、冬場は30分〜1時間を目安に」(矢吹先生)

 

50歳の人であれば人生これからが本番。30年、40年と折れない心で折れない骨を育てよう!

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