「もの忘れが多くなると、このまま脳が衰え、いずれ認知症に……と不安になる人もいます。でも諦めることはありません。脳は何歳になっても成長するのです」

 

そう語るのは、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳先生。胎児から超高齢者まで1万人以上の脳のMRI画像を分析してきた脳科学のスペシャリストだ。

 

加藤先生の新著『50歳を超えても脳が若返る生き方』(講談社)には、驚きの“新事実”が書かれている。たとえば、中高年になると年々脳の機能は低下していくと思っている人も多いはずだが……。

 

「加齢とともに脳の神経細胞が減っていくことは事実です。ただ、脳の全体が衰えるわけではありません。脳には使われずに眠ったままの“潜在能力細胞”が残っています。それは100年以上生きても使い切れない。だから脳は死ぬまで衰えることはないのです」(加藤先生・以下同)

 

さらに、大人になれば脳の成長は止まるという“常識”も覆す。

 

「ある80歳の男性の脳のMRI画像を見ると“運動機能”が弱まっていました。そこで私が脳の活性化を促すコツをアドバイスしたところ、彼はドラムの練習を開始。すると、1年後に脳が7歳程度の子どもと同じ伸び率で急成長していたのです。私はこの木が枝を伸ばすように脳が成長することを『脳の枝ぶり』と呼んでいます」

 

脳の成長には、複数の脳の機能を使うことが重要だ。

 

「脳の中では、同じ働きをする複数の神経細胞が集合して基地を作っています。これを“脳番地”と名付けました。なかでも脳の若返りに欠かせないものが、8つの番地です」

 

8つの脳番地は次のとおり。

 

【1】思考系
思考や意欲、想像力をつかさどる。

 

【2】伝達系
コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。

 

【3】運動系
体を動かすこと全般に関係。

 

【4】感情系
喜怒哀楽などを感じ、表現する。「感覚系」を通じて活性化する。

 

【5】理解系
目や耳を通じて得た情報を理解する。

 

【6】聴覚系
言葉や音を脳に集積させる。

 

【7】視覚系
映像や画像、文章を脳に集積させる。

 

【8】記憶系
ものを覚えたり、思い出したりする。

 

「体を動かすことが好きな人は運動系が鍛えられ、楽器演奏が得意な人は聴覚系脳番地が育つ。逆に苦手なものやふだん使わない脳番地は未熟なままで年々衰えていく。ですから、これをバランスよく刺激することで、認知症を遠ざけることができるのです」

 

では、その8つの脳番地を常に刺激するライフスタイルとは、どのようなものだろうか。

 

「実は男性より女性のほうが、ふだんの生活で脳を活性化させているのではないかと思っています。たとえば専業主婦の方であれば、子育て、家事、近所付合い、パートの仕事はもちろん、趣味やオシャレへの関心まで、多岐にわたって脳をフル活用しています。とりわけ美の追求やオシャレなものへの物欲は脳の成長に欠かせない栄養素。脳のためには、いくつになっても“欲”は持ち続けてほしいところです」