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猛暑もピークを過ぎ、秋の訪れを感じる日も増えてきたけれど、同時に季節の変わり目に多くなりがちなのがお腹のトラブル。重大な病気につながりかねない便秘の悩みは、早めに手を打つことが肝心だ。

 

「暑い日から一転、涼しい日が来ると、過ごしやすくなりますが、同時にお腹の不調を訴える患者さんが急に増えてきます。意外なのは、下痢よりも便秘の症状を訴える人のほうが多いことです」

 

そう語るのは、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社知恵の森文庫)の著者で、便秘外来がある松生クリニック(東京都立川市)の松生恒夫院長だ。季節の変わり目は、なにかと体調トラブルに悩まされがち。そのなかでも便秘はつらい症状の1つだ。

 

「毎日お通じがあったとしても残便感があり『スッキリしない』『ガスでお腹が張って苦しい』という症状を訴える人が多く、それらは便秘の一歩手前“停滞腸”の状態です。停滞腸を放っておくと便の腐敗が進み、善玉菌が少なくなり反対に悪玉菌が増えてきます。悪玉菌が血液の流れに乗って全身に行き渡ると、便秘のほかにも冷え性や肥満、肌荒れ、体臭がきつくなるなど、体にさまざまな悪影響を及ぼします。また便秘がさらに慢性化してきますと潰瘍性大腸炎など腸の病気にも発展します。便秘は日本人に増えている大腸がんの原因の1つともいわれているので、停滞腸の段階でしっかりと治しておきましょう」(松生院長・以下同)

 

腸の健康を取り戻すには、十分な睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動といった規則正しい生活が大前提。こうした生活改善に加えて、補助的に市販の便秘薬を利用することも症状の改善のための方法の1つだ。現在発売されている市販薬は作用の仕組みや強さもさまざま。購入する際には薬剤師に相談し、正しい用量を服用するように心がけたい。

 

より積極的に腸内環境の改善を目指すなら、腸の運動を活性化させる“腸活”に取り組もう。松生院長のおススメは次の3つ。

 

■キウイフルーツを毎日食べる

 

食物繊維が豊富に含まれているキウイフルーツを食べると、腸の活動が活性化する。その際、トッピングとして“オリーブオイル”をかけるとさらに効果が出るそうだ。

 

「キウイを輪切りにして、その上にオリーブオイルをティースプーン1杯程度かけて食べるのがポイント。オリーブオイルはお腹を温める保温力があるうえ、腸管を刺激します。キウイと一緒に食べると、排便を促進する効果を相乗的に生み出します」

 

ただし、食べすぎるとお腹を壊す恐れもあるので、はじめは2分の1個からトライしてみよう。

 

■“腸もみ”で腸のぜん動運動を促す

 

大腸内内視鏡検査の際、腸内に溜まったガスを排出するために考えられたのが「腸徒手圧迫法」で、日常的にも使える運動だという。「腸徒手圧迫法」のやり方は次のとおり。

 

1)右の脇腹に枕を当てて横になり、左手で右脇腹を持ち上げるようにしながら、腸を1分間刺激する。枕で上行結腸を押し、左手で横行結腸を刺激するイメージで。反対側も同様に(枕で下行結腸を押し、右手でS状結腸を刺激するイメージで)。

 

2)あおむけになり、両手で下腹部をさするように1分間刺激する。終わりにうつぶせになり、1分間ゆっくりと深呼吸する。

 

行うのは腸のぜん動運動が活発になる朝食後がベストだが、忙しい場合は就寝の1〜2時間前でも効果が望めるそうだ。

 

■忙しい人こそ入浴中に“美腹半身浴”

 

忙しい人こそ、入浴の時間を有効活用したい。37〜40度のぬるめのお湯にみぞおちから下だけつかり、10〜20分体をじっくり温めよう。そのとき、時計回りに大腸をなぞるよう両手でお腹をつまんでいく。腸のぜん動運動が活発になるだけでなく、自律神経の副交感神経が優位になるので、心身ともにリラックスできる。

 

「人間の血液は約1分間で体内を1周するといわれています。20分で約20周しながら、体の隅々まで血液が行き渡るうえ、体が温まることで血行がよくなり、便秘のもとになる冷え性を改善できます」

 

放置すると重大な病気を招きかねない秋の便秘。腸の不調は早い段階でスッキリさせて、秋の味覚やスポーツを存分に楽しもう!

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