「お灸というと、もぐさを直接、肌にのせて火をつける、昔ながらのスタイルを想像しがちですが、近年は使いやすさを重視した、さまざまな製品が開発・販売されています。もぐさを薄紙で円筒形に包み、それをパルプ製の丸い台座にのせた『台座灸』は、初心者でも扱いやすく、肌に優しいので、やけどの心配がほとんどありません」
こう語るのは、東京大学医学部附属病院の粕谷大智先生。昨秋、NHKの特番『東洋医学 ホントのチカラ』に出演し、予約が殺到している“東大病院の鍼灸名医”だ。そんな粕谷先生は、「自宅でお灸をすることで、重いひざ痛も鎮まります」と言います。
「台座灸は温熱レベルの異なるものや、香りのよいものなどさまざまな種類が選べますので、自宅でお灸を据えるときには、台座灸を使用されることをオススメします。ドラッグストアなどで簡単に入手でき、使用後の処理も簡単で安全・安心です」
さっそく、粕谷先生にひざ痛を鎮める「台座灸の据え方」の手順を教えてもらった。
「まず、ひざをむき出しにしなければならないので、体が冷えないよう、始める前にあたたかな服装をして、部屋の温度も調節しておきます。お灸を据え始めたら自由に移動することができなくなるので、必要なものは身近に置いておきましょう。椅子にゆったりと腰掛け、手順通りに台座灸を据えていきます」
手順【1】ツボを探してサインペンで印をつける
手順【2】台座灸の台紙をはがして、印をつけたツボに貼る
手順【3】点火棒で台座灸に火をつける
「台座灸は火をつけてから消えるまでに2~3分、消えた後の余熱で3~5分、計5~8分は貼ったままにしておいてください。また、ツボに貼った台座灸に火をつけるのが不安な場合は、台座灸に火をつけてからツボに貼ってみてください」
手順【4】台座灸が燃え始めて、しばらくすると煙が出てくる
手順【5】台座灸の熱感を十分味わう
手順【6】台座灸を、指もしくはピンセットで取り除く
手順【7】小皿へ入れて、後処理をする
「火が消えても、台座灸を通して皮膚はじんわりと温かさを感じ続けます。耐えられない熱さでないかぎりは、お灸の温熱効果を楽しんください。痛みでこり固まったひざ関節がゆるむのを感じることができるはずです」
『ひざ痛は「お灸」で消える! 東大病院の鍼灸名医が「自宅灸」を初伝授』
価格:1,200円+税
出版:光文社
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