第二の心臓「ふくらはぎ」トントン体操で血流改善をしよう

「中高年になるにつれ、ひざ関節の不調などが原因で思うように運動ができなくなる人が増えていきます。女性の方が男性より多い傾向にあります。こういう人はさまざまな疾患のリスクを高めることになってしまいます」

 

ふきのクリニック(大阪府藤井寺市)の院長で、内科・心療内科を専門とする吹野治先生はそう話す。

 

「私たちの血流には、心臓から足先に向かって下りながら動脈を通って細胞に酸素や栄養を与えてくれる血流と、血中の二酸化炭素や老廃物を取り除きながら静脈を通って心臓に向かって流れている血流の2種類があり、これが交互に行われています」(吹野先生・以下同)

 

重力に逆らいながら心臓に向かう血流には、ふくらはぎが大きく関係している。ふくらはぎの筋肉が伸縮することで、ポンプのような働きをして血流を心臓へ送り出すのだ。この働きから「ふくらはぎは第2の心臓」といわれている。

 

この第2の心臓が担う“筋肉ポンプ”の作用が衰えると、血流が悪くなり、心臓疾患につながるリスクが出てくるという。

 

それだけでなく、足の血流が悪くなるため、足がこぶのように膨れてしまう「下肢静脈瘤」になる恐れも。さらに、内臓の血流が悪くなることで、体内に老廃物がたまりやすくなり、肝臓病、腎臓病、糖尿病など、さまざまな内臓疾患のリスクも上がってしまう。

 

ほかにも、自律神経系の疾患の可能性もあるというから放置するととても危険だ。

 

「年齢とともにふくらはぎの筋肉は衰えやすくなりますが、《ふくらはぎがむくんでいる》《こむらがえりを起こしやすい》《座り仕事が多い》《ふくらはぎの伸縮が悪い》《ふくらはぎがたるんでいて、皮膚にハリがない》《ふくらはぎの皮膚に触れると冷えている》……といった自覚症状のある人は、特に注意が必要です」

 

第2の心臓の衰えは、体全体の不調につながってしまう。それを防ぐために効果的なのが、吹野先生が提唱する「ふくらはぎトントン体操」だ。

 

「ふくらはぎをマッサージしたり、足首を回したり曲げ伸ばしをするだけでもふくらはぎの筋肉は伸縮し、心臓への血流が促進されますが、『ふくらはぎトントン体操』は、横になってふくらはぎを刺激するだけで、全身の血流を促進させることが期待できる体操です。この体操のメリットは、心臓へ負荷をかけることなく血流を促進させることができる点。誰でも簡単に行うことができます。体力に自信のない人や、寝たきりの人でも実践できるものです」

 

バスタオルをきつく丸めたものを用意し、足を20~30センチ上げたところから、力を抜いてストンと落とすだけ。

 

【ふくらはぎトントン体操】

 

<準備>
1)大きめのバスタオルを、横向きで3つ折りにする。
2)短いほうの端をもってきつく巻き、棒状にする。
3)ひもやゴムで両端を留める。

 

<実践>
1)床の上にタオル棒を置き、あおむけに横になる。足を伸ばした状態で、両足をタオル棒に乗せる(足とタオル棒の接する箇所は、アキレス腱からふくらはぎにかけての部分)。
2)ひざを伸ばした状態で、左足を床から20~30センチほど上げる。足先は力を抜いた状態に。
3)2の状態から足の力を抜いて、足をタオル棒の上に落とす。足がタオル棒にあたる瞬間もブレーキをかけないようにする。この動作を10回、その後右足でも同様に行う。

 

これを片足10回ずつ行う。1日に何セットやってもよい。空腹時に行い、食後30分は避けること。脱力した際にかかとが床にぶつかってしまってはいけないので、始める前にタオルの高さが十分に確保されているかをきちんと確認しておくようにしよう。

 

「この体操を行うと、静脈の還流が促進されることで、老廃物の排出が促され、内臓関係の疾患の改善につながります。同時に、細胞内に栄養が行き渡ることで、細胞が活性化されて糖や脂肪が燃焼されやすくなります。つまり、基礎代謝のアップも期待できるのです。また、体の末端まで血流がいきわたることで、冷え性や痛みの改善にも効果が期待できます」

 

この「ふくらはぎトントン体操」は、血流改善だけでなく、振動による刺激によって、自律神経にもよい影響があると吹野先生は考えているという。

 

「振動による刺激は、自律神経によい影響を与えるので、ひきこもりがちの人や高齢のために体を動かせないことがうつ状態を招いているような人にもこの体操を推奨しています」

 

吹野先生自身も毎日実践していて、かれこれ10年以上病気知らずなのだそう。ふくらはぎのむくみが気になる、最近運動不足気味だ、などという人は、大事な第2の心臓のコンディションを維持するために、ぜひ取り組んでみよう!