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ウイルス感染に対する不安によるストレスで、呼吸が不十分になってしまう危険性を医師は指摘する。手軽にできるストレッチ法で、正しい呼吸を習慣づけようーー。

 

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、外出を控えて自宅で過ごす時間が増えている。そんなさなか、「不安感が募って集中力が出ない」「なんだか息苦しい」「睡眠時間はじゅうぶんなのに疲れが取れない」など、体調不良を訴える人が急増している。

 

「ストレスの蓄積が呼吸を狂わせていることが原因のひとつです。以前、不安と呼吸に関する調査を行ったところ、『不安度が高い人ほど、呼吸数が増加していく』という結果が出ました。まさに今は、コロナウイルス感染への恐れや、外出自粛が続いた後の生活など、不安が募っている人も多い時期。そんなときこそ、正しい呼吸を心がけることが、心身への負担を和らげることにつながります」

 

そうアドバイスするのは、東京有明医療大学の本間生夫学長だ。健康な体であれば、あえて呼吸を意識することはあまりない。しかし、加齢とともに呼吸をする機能は弱まり、息苦しさを感じやすくなるのだという。

 

「呼吸改善のためには、肺をとりまく“呼吸筋”を柔らかくすると同時に、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉“抗重力筋”を鍛えて姿勢をよくすることが不可欠です。そのために有効なのが呼吸筋ストレッチ体操。ここでは『寝たまま呼吸ストレッチ』を紹介します。寝床でできるので、起床時に行えば深い呼吸で脳や全身の筋肉に新鮮な酸素を送り込むことができ、目覚めがスッキリします。すると、心と体が軽い状態で1日をスタートできます。就寝前にゆっくりと呼吸をすれば、副交感神経が優位になり、リラックスして寝つきがよくなります」(本間学長・以下同)

 

本間学長考案の呼吸ストレッチは、呼吸に合わせて肩を上下にゆっくり動かす「肩のストレッチ」、呼吸に合わせて首を左右にゆっくり動かす「首のストレッチ」、息を吸いながら膝を抱えて体を曲げ、吐きながら戻す「胸・背中のストレッチ」の3つ。それぞれ1回3セットを毎日決まった時間に行うように習慣づけると効果が持続するそうだ。

 

■肩のストレッチ(僧帽筋をストレッチ)

(1)あおむけになり、天井を見ながら、呼吸を整える。
(2)ゆっくりと息を吸いながら、肩を上げる。
(3)ゆっくりと息を吐きながら、肩を下げる。肩以外は動かさない。

 

■首のストレッチ(胸鎖乳突筋・斜角筋をストレッチ)

(1)あおむけになり、天井を見ながら、呼吸を整える。
(2)ゆっくりと息を吸いながら顔を横に向ける。首の横が伸びていることを感じながら行う。
(3)ゆっくり息を吐きながら顔を正面に戻す。
(4)反対側も同様に行う。

 

■胸・背中のストレッチ(脊柱起立筋・肋間筋をストレッチ)

(1)あおむけになり呼吸を整える。
(2)ゆっくりと息を吸いながら、ひざを両手で抱える。
(3)息を吸いながらできるところまでひざを引き寄せ、背中を丸める。
(4)ゆっくりと息を吐きながら、足首は90度に曲げたままひざを伸ばして背すじも伸ばす。

 

「呼吸は吸うときは鼻から、吐くときは口から、リラックスしてゆっくり行うのがコツです。呼吸を意識しながら筋肉を伸ばすところは伸ばす、縮ませるところは縮ませるように収縮を感じながら行いましょう。ストレッチをするときに無理は禁物ですが、『イタ気持ちいい』程度に伸ばしてみると効果が出やすいです。また、大事なのは呼吸を正しながら姿勢も正すこと。呼吸と姿勢が改善されると、不安が和らぎ、おだやかな気持ちで過ごせるようになります。免疫力を低下させるといわれているストレスに対しても抵抗力がつくのです」

 

新型コロナウイルス感染拡大の不安は続いているが、寝たまま呼吸ストレッチで体のコンディションを改善していこう。

 

「女性自身」2020年4月28日号 掲載

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