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「自分の口の中の細菌画像を見て、こんなに! と驚かれる患者さんがほとんどですね」

 

こう話すのは、歯科医師の前島美佳先生。しかし、今回紹介する「唾液検査」、聞いてもピンとこない人が多いのではないだろうか。

 

「成人の口の中には約500種類の細菌が存在し、よく歯をみがけている人で1,000億〜2,000億個、多い人では1兆個といわれています。この細菌が虫歯や歯周病だけでなく、感染症の原因にもなるので、自分の口腔内の状態を科学的に知る手段として、唾液を調べることは非常に有効なんです」(前島先生・以下同)

 

前島先生のクリニックでは、4年前から検査を本格導入。すべての患者を対象に実施している。

 

「実際に検査を受けたことで、唾液の量が極端に少ないとか、虫歯ができやすい唾液の状態になっていることが判明し、その後の治療に役立っている人が多くいます」

 

前島先生のクリニックで実施している基本の検査を紹介。

 

【タンパク質量検査】

 

口の中の食べカス量をチェック。唾液中のタンパク質を検出することで歯みがき時の「みがき残し」の有無を判定する。

 

「口の中から検出されるタンパク質のほとんどは、食べカスです。正しい歯みがきができているか、自分では気づかないみがき残しがないかを確認できます」

 

【細菌顕微鏡検査】

 

冒頭で述べた顕微鏡による口内細菌の種類と量の視認。トゲトゲとした針のようなものが歯周病菌で、丸く小さいものが虫歯菌。採取したばかりの歯垢を顕微鏡でのぞくと、生きて動きまわる細菌の姿に驚かされる。

 

虫歯や歯周病は、病理性バイオフィルム感染症。口に存在する細菌の種類を顕微鏡を使った検査で把握し、治療に役立てる。

 

「口内細菌を少なくするには、歯みがきはもちろん、やはり唾液量を増やすことが大切です。そのために、毎日シュガーレスガムをかむことをおすすめしています」

 

また、新型コロナウイルスの殺菌効果で注目されている次亜塩素酸水でのうがいは、口腔内の細菌の除去にも効果的だという。

 

唾液検査は、予防歯科に力を入れているクリニックで導入されている。その数は全国で増えつつあるので、ネット検索などで、地元の実施クリニックを見つけることが可能だ。

 

費用は健康保険対象外で、今回紹介した検査の場合は、数千円程度(検査項目やクリニックによって異なる。精密検査の場合は1万〜3万円程度)。

 

新型コロナウイルスによる外出制限が解除されたあかつきには、一度、唾液検査で自分の口の中の状態をチェックしてみてはいかが?

 

「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載

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